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企業内部やお客様との関係においてマイナスの状態が発生した時に、問題点を最初から短絡的に決めつけるのではなく、「もしかすると、それは何か他の問題点の原因かも知れない」と俯瞰して多面的に考えることが、的確に問題解決をするための早道であることを書いてきました。
“解決策ありき”の問題解決では困ってしまう
問題点をきちんと把握して、その原因候補を洗い出して解決策の方向性を1つ1つ丁寧に考えていけば、的確な解決策は案出されたも同然です。
しかし、困ったことに世の中には “解決策を最初から短絡的に決めつける” という誤った取り組みをする人が意外と多いのです。
典型的には、下記のような発言に見られます。
A) うちは慢性的に人手不足なんだから、そろそろ人を増やしてもいいかなあ
B) うちは残業が多いから、他社もやっていることだし、毎週水曜日をノー残業デーにしよう
すでに本コラムを読んでいただいた方は、A)については「問題点を明確にし、その原因候補を洗い出し、解決策の方向性を考え、どうしても解決に至る見込みがない時に、コストをかけて人手を増やそう」という手順をピン!と思い浮かべていただけるでしょう。
『原因』 に対応した 『解決策の方向性』 を考えよう
では、B)についてはいかがでしょう? たしかに、ノー残業デーを実施して残業が減った企業もありますが、全く機能しないケースも多々見られます。これも、問題解決のプロセスに沿って考えれば明らかになります。
問題点: 残業が多い
●原因候補①: 残業を減らそうという意識が低い ・・・ (解決の方向)ノー残業デーで疑似体験させて意識向上
●原因候補②: 業務遂行力が低く時間がかかる ・・・ (解決の方向)基礎的な知識や技術を高める研修やOJT
●原因候補③: 特定の部署に仕事が集中する ・・・・ (解決の方向)業務の配分や人員配置を見直す
●原因候補④: 急な仕事が顧客から入ってくる ・・・・ (解決の方向)突発の事態を吸収できるよう段取りを改善
問題点が「残業が多い」という場合、原因候補②が有力な原因だとしたら、ノー残業デーを実施すればますます業務時間が減って、さらに残業が増えるという事態に陥るでしょう。
その問題点に対して、現状ではどの原因候補が最も問題点を引き起こしているのかを考え、その有力な原因候補に対する解決の方向性を設定していくのが的確な解決策を導くためのポイントです。
仕上げとして、『解決策』 と 『実行計画』 を定める
なお、有力な原因候補(=根本原因)が特定され、それに対応した解決の方向性が定まれば、あとは具体性をもたせて解決策に、さらに5W1Hを加えて実行計画にしていきます。次のようなストーリーとして成立したら、問題解決のプロセスに沿って的確に取り組めたと考えてOKでしょう。
問題点:残業が多い
●原 因:業務遂行力が低く、時間がかかるから
◇解決の方向性:基礎的な知識や技術を高める研修やOJTを進める
□解決策1:技能向上研修を月1回実施する
□解決策2:課長を責任者として、各課ごとにOJTを実施し状況を部会に報告する
※実行計画1:外部のA研修会社に依頼し、第1回目を7月15日に実施する
※実行計画2:各課長はOJT実施計画書を次回の部会に提出し、実施内容を検討する
最後に: 急がば回れ!
どんな企業にも多かれ少なかれ問題点は存在します。しかし、問題点や解決策を短絡的に先入観で決めつけて取りかかったのでは、いつまで経っても解決に至らないことが多いのです。
私がお客様にいつもお贈りしている言葉・・・「急がば回れ!」、これに尽きるでしょう。本コラムに書いてきた「問題解決のプロセス」に沿って、1つ1つを丁寧に考えてください。きっと的確な解決策が見つかり、問題は解決します!
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