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企業内でマイナスの事態が生じた時、「問題解決のプロセス」を使って考えればよいのですが、一般的には『原因の分析』と『解決策の案出』が重視されがちです。
しかし、前回説明したように、スタートの「問題点の把握」で勘違いをしたために、いつまで経っても妥当な解決策に行き着かないケースが多いのです。
「人手不足」は問題点ではなく、原因ととらえる
結論から言うと、「人手不足」とは、例えば「ミスが多発している」という問題点の“原因候補の1つ”に過ぎないのです。
問題点: ミスが多発している
原因候補①: 担当者の基礎技術力が低い
原因候補②: 担当者の意識が低い
原因候補③: 作業手順が緻密に定められていない
原因候補④: 作業そのものが複雑すぎる
原因候補⑤: 一人当たりの負担が大きい ⇒ その原因として「人手不足」
問題点とは「企業やお客様の困った状態」であり、原因とは「なぜ?問題点が発生したのか」ということです。いくつかの原因が重なって1つの問題点が起こるケースが多く、逆に言えば、1つの原因(人手不足)だけを何とかして・・・何とななるものではないのです。
「人手不足」を嘆く前に、やるべきことは山ほどある
こうして全体像を俯瞰して見ると、「人手不足」はそれほど重要な要因ではないことが分かります。「人手不足」を嘆く前に、やるべきことは山ほどあるわけです。
●基礎技術力が低いのなら・・・研修やOJTにより基礎技術力を上げさせるのが先決です。
●意識が低いのなら・・・仕事の目的・目標を再認識させたり、評価制度を見直す必要があります。
●作業手順が不明確なら・・・作業手順を整理してマニュアル化すべきでしょう。
●作業が複雑なら・・・各工程ごとに作業を洗い出し、単純化・専門化・標準化により再構築しましょう。
これだけのことに対処して、それでもダメなら、そこで初めて「人手不足をなんとかしよう」という話になるのです。
ビラ配りのような単純作業の繰り返しで済む業務なら、最初から「人手の充足」だけを考えても問題は解決するかもしれません。
しかし、ある程度高度な業務になってくると、上記のように原因候補を洗い出し、各々に対して解決の方向性を見出していくことが、効率よく低コストで問題を解決するための王道なのです。
基礎技術力を上げて、意識を向上して、作業を標準化してマニュアル(教育ツール)としてまとめていけば、たいていの現場でミスは限りなくゼロとなり、わざわざ高いコストをかけて人手を入れようという意見も同時にゼロになることでしょう。
『問題点』と『原因』を見分けるコツがある
このように「問題解決のプロセス」は問題を解決する上で大切な道筋ではありますが、スタートの「問題点」をいかに的確に把握するかがポイントです。
そのためのコツを紹介します。それは、「問題点かな」と思った事象、例えば「人手不足」に語尾として「から」や「ため」を付けてみることです。
人手不足だから(人手不足のため) → ミスが多発している
このように言葉がつながったら、『後者が問題点』、『前者が原因候補の1つ』ととらえ、他に原因候補がないかを考えて洗い出します。
いかがでしょうか。何が問題点で、それが原因なのかを、きちんと仕分けしながら考えていくと、その企業で取り組むべき問題解決の流れが非常に明確になってくるのです。
では、『原因の分析』の次に位置づけられる『解決策の案出』は、どのように考えればよいのでしょう?
※関連リンク
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