読み手と聴き手が一体となる朗読体験をあなたへ（2/3）

NHKアナウンサーとして言葉を紡ぐ道へ。ことばで表現する人への指導に尽力

　児童劇団に在籍していた寺田さんは、読み方一つで悲しくも楽しくもなるセリフの奥深さを感じ、幼少期より言葉に対する感性を育みました。

　学校卒業後はアナウンサーとなり、言葉を生業とする道へ、リポートやナレーションの仕事に励むほか、新人アナウンサーの育成にも長く携わりました。退職後は、NHKの関連団体で音声表現技術の指導を続けながら、特に朗読の世界に足を踏み入れました。

　「朗読家は比較的年配の人が多いんです。豊富な人生経験が想像力へと繋がり、語りの味となるので、何歳からでも始められます」

　キャリアが長く、実績のある寺田さんを頼りに、既に長い経験と高いスキルを持った受講者も集います。言葉を生業としている人も訪れます。しかし、一定の水準に達していても「綺麗に確実に読む」ことに捕らわれ、大きな壁にぶつかっている人も少なくありません。
　
　「明瞭に、確実に読めるだけでは、聴き手の心を動かすことはできません。人間味溢れる血肉が通ってこそ、聴く人の琴線に触れることができます。この点で、特に熱心に音訳奉仕に取り組んで来た方は注意が必要です。なぜなら、自分の個性や感情を込めない読みが染みついているようだからです。それでも、作品の味わい方（解釈）を身に着ければ、音声化の基本はできていますから、飛躍的にうまくなります」

　実際に、寺田さんの下で“何か”をつかんだ受講者は少なくないようで、全国的なコンテストで優勝したり、朗読検定で上位の級に合格したりなど、数々の壁を突破した例があります。

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