手話を習い始めました
障害者の就労支援について
障害者雇用の実際、特別支援学校の役割、企業の受入れ体制など
立場上学ぶことが多いです。
こんなご相談がありました・・・
さて、先日、関与先の企業さんからこんなご相談がありました。
「障害者の社員(20代くらいの若い方)が社会保険に入ってくれない。理由を聞くと親御さんの扶養に入っているので、これまでどおり親の扶養から抜けたくない。」。聞けば、親御さんは大企業にお勤めで、親の扶養であれば「親は節税できるし、親の会社から家族手当がもらえる」とのこと。。。
そもそも「働く」って・・・
子どもが学校を卒業して就職するということは「自立する」ということ。
つまり親の扶養から外れるということです。
障害を持つお子さんなら、一生親の扶養のままでいいのですか???自立させなくていいのでしょうか?
そんなことはありません。
労働契約を結ぶというのは
労働契約を結ぶというのは
使用者(会社)と労働者(働く人)が「対等の立場にいる」ということなのです。
使用者の方が有利、労働者の方が有利というわけではありません。
もし障害を持つことが働くうえで不利ならば、そのときは使用者の「合理的配慮」により「対等の立場」となれるようにしなければならないのです。
つまり、障害を持つ労働者の我儘を許すことではありません。
もしこの障害者の方の主張を許したら
企業はコンプライアンス違反です。
年金事務所から指摘があれば2年さかのぼって社会保険加入・社会保険料請求される、ということになりかねません。
企業は社会的に制裁を受けることになるのです。
社会保険に加入できることは労働者にとってありがたいことです。
厚生年金に入れれば
将来年を取ったら大きな年金を手にすることができます。
障害基礎年金2級だけよりもずっと大きな額です。
健康保険に入れれば
もしインフルエンザで5日休み、その間お給料が出なかったら
4日目5日目の二日間は標準報酬日額の3分の2(だいたいお給料の3分の2くらい)、傷病手当金が支給されます。
障害者の方で基礎体力に自信がないなら多くのメリットを享受できるのです。
家族を持つようになればそのメリットはさらに大きくなります。
今はまだ若い障害を持つ労働者の方も
いつか結婚するでしょうし、家族を扶養することだってあるでしょう。
就職するからには自立してほしい、切に願います。
もし、仕事することを経験させるだけでよい、だから親の扶養の範囲でというのなら
当たり前ですが、お給料はぐっと少なくなります。
大企業なら週20時間未満の労働契約を結ぶということになります。
そうなれば雇用保険も健康保険も厚生年金にも加入はできません。
将来、親御さんが子どもに養ってもらいたいと思っても社会保険に加入できていないという
ことになりますので
そのあたりもよくよく考えられた方がよいのではと思います。
一時的な、しかも「親の(ごくわずかな)節税のため」に
お子さんの未来を犠牲にしてはならないのです。
今回の顧問先企業のご相談とは別に、同じような相談を受けたことが過去にあります。
そのときは結果として
障害者の方の就業時間を少なくし給料を減らしました。
親の思惑どおり、親の扶養に復帰できましたが
障害者の方本人は仕事やる気満々だったのに
給料を減らされ、社会保険から外され
働いている人を守る社会保険から外されたのです。
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社会保険に加入する意義、きちんと考えてほしいものです。
障害を持つお子さんがいらっしゃるなら尚のことです。
ウソのような本当の話です。
社会保険労務士 森田涼子
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