失われつつある莫大な資産　緊急の対処法とは

今こうしている間にも失われつつある莫大な資産や遺産があります。認知症や死亡により凍結されたり、忘れ去られ葬られる可能性のある高齢者の資産や遺産や記憶、記録類です。

第一生命経済研究所は昨年10月、認知症患者の保有金融資産は2017年度末で143兆円、30年度には家計資産の1割にあたる215兆円になると試算しました。みずほ総合研究所も2035年に有価証券の5割、金融資産の4割を70歳以上が保有すると推計し、年々増え続けています。

父の死後、本人と家族の戸籍を取り寄せ、生前に書かれた遺言に従い、預貯金はすべて母の口座に移すべく、母に委任状を書いてもらいすべての手続きを済ませました。そうした経緯でたとえわずかでも、本人の益に反しない範囲で意思を尊重する財産管理委任契約、預かり証添付代理権目録、任意後見契約書も作成しました。その後知人から、家裁や法律家がからんだことで家族の温度差を招き、費用がかかる上すべてが管理され苦労した話を聞いて家族信託契約も視野に、医師や専門家と協力して、最新の理解力判断力を確認の上で、尊厳死宣言書や死後手続きを含め、双方自署捺印と割印した有効な書類にするよう心がけています。

『　やもめに子供や孫がいるなら、彼らに次のことを学ばせてください。まず自分の家族を世話することによって神への専心を示し、親や祖父母から受けた恩に報いるべきである、ということです。これは神に喜ばれることです。』ーテモテへの第一の手紙5:4

高齢者の意思と本人確認の壁は厚く、万能と思える委任状があっても、代理人選任届があっても、戸籍謄本、保険証、実印などの証拠があっても電話しても、本人と確認不可能だから、カラーコピーだから、〇〇の文言がないからと、顔の表情筋が少しも動かない職員によりマニュアル対応をされた時には、つくづく考えさせられました。頼まれた家族ですら役所の届け出など代理権の行使が困難となれば、まして意思確認できない財産預貯金が凍結されて、家族が引き出したり動かしたりできなくなっても、無理のないことかもしれないと思えたからです。

現に老親のもの忘れや善意に乗じた、年金収入を上回る利益相反、高齢者への経済的虐待や占有や不和も増え、本人の意思確認を徹底的にせざるを得ない背景はよく理解できます。高齢でなくても地面師や個人情報漏洩、国際詐欺や劇場型など組織的な詐欺も報道され、被害も巨額です。
市区町村、金融機関関連が、なりすましや本人確認に過敏になるのも無理はありません。

インターネットに委任状の書き方が載っていてもほとんどの高齢者は使えませんし、市区町村によって委任状の形式や書き方、サービス、マイナンバーカードによるコンビニでの発行などは使えない所もあり、統一されていない過渡期の今は対応もさまざまです。代理人の本人確認と、委任者の意思確認、状況証拠など確かに本人に頼まれた代理人との判断は、人をみる総合的な識別力、洞察力、人間力によるところが大きいと思いました。

戸籍法は明治の廃藩置県で「各人の身分を明らかにするための手続き」として制定、何度も改正、昨年大河ドラマでも新政府をめぐる混乱を放映↓我が家にも不穏な情勢下の写真があります。
　　　　　　　明治6年　中央　曾祖父直佐衛門　右　鎌田市兵衛　左　大山県令の娘

　筆者の父方は祖父永井太次郎(明治12年生)～曾祖父永井直佐衛門(弘化3年生)～永井太郎(?生)。
母方祖父春成俊保(明治36年生)～曾祖父春成藤吉(明治21年生)～春成鉄之進(文久2年生)～春成藤次(?生)までの戸籍と家系図から春成久正～春成久清～春成久春～春成久智～日置久影～伊集院忠国～伊集院久範～伊集院久兼～島津(伊集院)俊忠～島津忠経～島津忠時、島津忠久、源頼朝の庶長子説(一部略)までたどれました。他に何かご存知の方はお知らせくだされば取材に伺います。

* 余談ですが、両親のすべての家系が完璧に記されている人物はイエスキリストただひとりだけで、マタイ1章、ルカ3章にみられます。不思議なことに系図だけでなく、イエスの誕生や生涯、死に関しては、誰も操作しえない詳細な聖書預言の成就も多々みられ、調べれば調べるほど、驚くべき興味深い意味付けがあることがわかります。

家族の歴史も記憶も貴重な資産、遺産ですが、高齢者の認知症や減少とともに、貴重な資産や遺産や記憶や記録が保存されずにもし失われつつあるとしたら、とてももったいないことです。

筆者は以前にも、遺産計画や家族の理解や協力の必要性について書きました。判断力や理解力があるうちによく話し合って法的にも有効な書面にしておくことは急務と思います。先延ばしにして認知症や死亡などで把握できないまま、みなさまとご家族の貴重な資産や遺産や記録が、凍結されたり忘れ去られたり、葬られることがありませんように。