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空き家の譲渡益にかかる3,000万円控除特例について

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テーマ:相続情報

 改正空き家対策特別措置法が令和5年12月13日に施行されましたが、
前回に引き続き空き家対策として最大のメリットと考えられる『空き家
の譲渡益にかかる3,000万円控除の特例』についてお伝えします。
空き家は先祖代々の土地に建てられていることも多いため立地の良い
都心に近い地価の高い場所であればこの控除特例の効果が大きくなるの
は間違いないのです。
空き家の譲渡益にかかる3,000万円控除特例の適用期間は、令和9年
(2027年)12月31日まで延長されることになりましたので、国土交通
省のホームページのイラストを参考にして特例の適用要件を確認して
みましょう。

空き家の発生を抑制するための特例措置

 特例を受ける場合は以下の1から9までの要件を満たすことが必要です。
1)2027年12月31日までに当該空き家を売却すること
・但し、相続発生から3年後の年末までに譲渡を完了すること
2)空き家は昭和56年5月31日以前に建築された非耐震住宅であること
3)戸建住宅であること(区分所有の集合住宅は不可)
4)親子や夫婦など利害関係がある人に対して売ったものでないこと
5)売却代金が1億円以下であること
・1億円は土地・建物の合計金額で固定資産税等の精算金を含む
6)共有者が複数人いた場合、3,000万円の特別控除は各々の共有者に
認められること
・例えば2人の共有者がいれば3,000万円の特別控除は2人に各々認めら
れるので、合計すると6,000万円の控除額となりますが、2024年1月1日
以降は3人以上の共有については1人当たりの控除額は2,000万円に減額
となります
7)被相続人(亡くなった方)が一人暮らしをした後に施設に入所した
場合でも当該空き家の相続人は譲渡益の3,000万円控除の適用を受ける
ことができます
・この場合、被相続人が施設入所時に要介護又は要支援認定を受けていた
ことや自宅に電気・水道・ガスのいずれかが通っていたことが条件です
8)空き家が事業又は被相続人以外の者の居住の用に供されていないこと
で、あくまでも一人暮らしをしていたこと
9)売却前に耐震改修を施すか建物を取り壊して更地にすること
・ただし、令和5年の税制改正により (令和6年) 2024年1月1日以降の売買
については譲渡後、翌年2月15日までに譲渡人だけでなく譲受人である買い
手が耐震改築や取り壊しを行った場合でも3,000万円の特別控除は適用され
るよう改正されました
尚、上記9)のように売却前に耐震改修を施すか建物を取り壊して更地に
することは、空き家の解体や改築の知識もなく面倒に感じている所有者が
大変多いと思われることからもこの改正が朗報なのは間違いないでしょう。
 また、空き家の買い手は不動産や建築の業者であることが多いので、買い
手の義務にしても良いというのは悪質な不動産業者等から一般消費者を守る
観点からもこの改正は的を射ていると思います。
空き家対策として空き家の立地が良く今後の値上がりを期待して持ち続ける
場合や相続人が改築や再建築をして住み続けるというケースがある一方で
固定資産税や管理維持にかかるコストの負担や空き家の隣地や周辺に迷惑を
かけていないか等の精神的ストレスを抱えているような場合には早めの処分
を検討することが賢明だと思います。
 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、2024年1月1日以降の改正事項
も多く、国土交通省のホームページにはQ&Aも掲載されていますので、これ
から空き家の売却をしようと考えている方は是非とも参考にしてみて下さい。
空き家の発生を抑制するための特例措置

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三枝秀行(相続コンサルタント)

株式会社三枝エステート

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