マイベストプロ東京
三枝秀行

不動産に強い相続アドバイザー

三枝秀行(さえぐさひでゆき) / 相続コンサルタント

株式会社三枝エステート

コラム

法務局の遺言書保管制度とは?

2020年3月5日 公開 / 2023年9月22日更新

テーマ:相続情報

コラムカテゴリ:法律関連

民法改正により自筆証書の遺言もいよいよ本年7月10日から法務局で保管する制度が開始され
ますが、この遺言書保管制度は漠然と遺言を書こうと思っている方や将来の相続が不安だと考えている方にとってもお奨めできる制度だと思います。
自筆証書遺言は自分の意思で気軽に作成することができ費用も殆どかからないという反面、 相続が発生したときに遺族に発見されない場合や遺言書の要件を満たさずに無効となってしまうケースが多々あります。
また、遺言書を確実に管理しておかないと他人から隠蔽や改ざんされるリスクも伴いますので、このような問題を解消するために法務局で自筆証書遺言を保管する制度が開始されるのです。
現状、自筆証書遺言を作成する場合には、財産目録以外の箇所を全文自筆で作成して日付、
氏名を記入して押印するという厳格なルールがあり、このような要件を満たさない自筆証書の遺言は全て無効になってしまいますが、法務局で保管する場合には要式を満たしているか否かの判断をすることから自筆遺言証書を安心して預けることができるようになります。
また、自筆証書遺言は相続発生後に家庭裁判所の検認を受けなければならないのですが、この検認手続が不要になるのが最大のメリットでしょう。
この検認とは亡くなった人(被相続人)の遺言書であることを確認する手続であり概ね1ヶ月~2ヶ月の期間を要しますが、この面倒で時間のかかる家庭裁判所の検認が無くなることで相続発生後の遺産分割協議はスピーディーかつ円滑に進むと思います。
また、前述の通り、遺言書を他人から隠蔽や改ざんされるリスクや遺言書を何処へ保管したか忘れるという事態も回避できるのです。
既に自筆証書遺言の作成については、2019年1月より財産目録をパソコンで作成した書面、預金通帳のコピー、不動産の登記簿謄本等をそのまま添付することができるよう法改正がなされています。
本年7月10日以降で法務局に自筆遺言証書の保管をする場合は、遺言者本人が法務局に出向いて手続をすることが必須条件であり、遺言書の保管や閲覧の申請に関する手数料は現段階で公表されていませんが、数百円から数千円程度の手数料だとすると自分自身の思いを込めた自筆遺言を法務局へ保管しておくことが将来の円満な相続に繫がるのであれば是非とも活用すべき制度でしょう。
尚、代表的な遺言書の形式には公正証書遺言があり、こちらは公証役場に保管する遺言で公証人2人の立会いの下で作成されるのですが、公証役場とのやりとりに時間がかかることや専門家に依頼すれば財産規模によって異なるとしても最低でも100,000円程度の費用が発生するので、遺言書の安全性を考慮すると間違いないと思いますが、どちらを選択するかの判断は難しいので専門家に相談することをお勧めします。   
以前から指摘の通り、昨今の家庭裁判所の遺産分割金額別の訴訟割合は5,000万円以下が全体の3/4の75%を占めているので、相続は遺産額が少ないほど相続人同士で揉める傾向にあります。
家は財産が無いから大丈夫とか兄弟同士は仲がいいので大丈夫だろうと考えていても相続が発生した時に争族になってしまうのが現実問題なのです。
この機会に相続を争続にさせない対策として自筆証書遺言を作成して法務局に保管しませんか?
下記の通り、令和2年7月10日スタートの「遺言書保管制度」を法務省で公表していますので、参考にして下さい。
法務局における自筆遺言証書に係る遺言書を保管する制度

この記事を書いたプロ

三枝秀行

不動産に強い相続アドバイザー

三枝秀行(株式会社三枝エステート)

Share

関連するコラム

三枝秀行プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京の法律関連
  4. 東京の遺産相続
  5. 三枝秀行
  6. コラム一覧
  7. 法務局の遺言書保管制度とは?

© My Best Pro