なぜ会社はイノベーションを起こす必要があるのか?成功したときに気をつけることは
時代変化がわかれば、マーケティングが必要な理由もわかる
今までのように人口が増える成長社会の頃は、持たざる者がどんどん生まれて来るので、特に何もしなくても売れました。マーケティングはさほど重要ではなく、セールスマンさえいれば、売り込みスタイルで売れました。しかし、成熟社会では人口が減少し、持たざる者が生まれてこないので、全員が持っている者となった社会で、売り込みスタイルで売るのが難しくなります。だからこそ、マーケティングが必要となってきました。
全員がTVを持っている状態で、どうしたらTVを売ることができるでしょうか?
「4Kになりました!お宅にあるTV、オリンピックに向けて買い替えませんか?」と言われて買い換えるという人は、私がセミナーで確認しても、買い換えるというのは、1000人に1人もいないです・・・。
「大画面になるほど1画素あたりの面積が大きくなり、画素の粗さが目立つという課題がありました。しかし、4Kテレビなら、フルハイビジョンの4倍の画素数でこの課題を解決!大画面で見ても、画素の粗さが気になりません。高画質を大画面で楽しむなら、4Kテレビがおすすめです!」とスペックの向上を言われても、今のTVで困っていないから売れないのです。
成熟社会は【誰も困っていない】社会なのです。ニュータイプの社会です。
ものやサービスに溢れていて、良品が低価格で当たり前の世の中では、「不足」「不便」「不安」「不満」「不経済」がなくなりますので、困りごとがなくなるのです。
だからこそ、今までの売り方で売れるはずがないのです。
成長社会のように、いかに「目の前に来た人に売っていくか」が論点ではないのです。売り込みスタイルのセールスでは、成熟社会では「そんなには困っていない。今のままでも構わない」と顧客に逃げられてしまいます。成熟社会では、売り込むのではなく、いかに顧客を呼び寄せられるかが重要となります。そのため、セールスよりもマーケティングに力を入れることが求められる社会になってきたのです。
セールスとマーケティングの違いとは?定義は?
一度、ここでセールスとマーケティングの違いについて考えてみてください。
よく日本の会社では、「セールス&マーケティング部」などがありますが、本来は全く別物です。しかも、水と油のように絶対に相容れない関係性です。にも関わらず、一緒にしている会社も多くあるので本当に不思議です。さて、前置きはこの辺にしておき、セールスとは何か?マーケティングとは何か?を見ていきましょう。
「セールス」とは物を自ら売りに行くことを言い、「マーケティング」とは物が勝手に売れるための仕組みのことを言います。つまり、セールスはマーケティングの不足を補うことが目的であり、マーケティングはセールスを不要とすることが目標なのです。そして、成熟社会でより求められるようになったのが、マーケティングです。
マーケティング戦略・手法の変化
成長社会では消費者は不足・不満を感じていたので、作れば売れる時代でした。また、情報の手段も限られていたので、広告の効果も絶大でした。しかし、ものやサービスに溢れた成熟社会では、不足や不満を抱えていないため、消費者自身、自分が何を欲しいのか明確ではありません。そして、成熟社会はものやサービス以外に情報にも溢れています。
皆さんは、今日見た広告をいくつ覚えていますか?
テレビを見ていればTVコマーシャル、パソコンでバナー広告、スマートフォンを見ていてもゲームや動画を見ていると広告動画が流れます。また、電車に乗ったら中吊り広告もありますし、街を歩いていれば街頭ビジョン広告もあります。たくさんの広告を今日も見ているはずです。
この質問はよくセミナーでもするのですが、見た広告を1つも覚えていないという人が多いです。とすると、広告を出す意味って何でしょうか?覚えてもらえない広告に多額の投資をするのは、もったいないですよね。では、消費者に覚えてもらえる広告とは何でしょうか?好きな芸能人の人がやっている、歌が印象的、嫌というほど目にした、などでしょうか。
消費者に覚えてもらえる広告は、いかに消費者に「共感」してもらえるかが鍵を握ります。成熟社会のマーケティング戦略として「共感」は外せない重要なキーワードです。消費者は情報過多の中で共感したものを記憶に残し、購買行動に移すからです。
成熟社会にあったマーケティング手法
環境分析のためのマーケティング手法として「3C分析」「PEST分析」「ファイブフォース分析」「SWOT分析」や、事業の基本的な方向を検討するためのマーケティング手法として「STP分析」、事業の具体的な展開を検討するためのマーケティング手法として「・4P分析(マーケティングミックス)」「バリューチェーン分析」など、たくさんの手法があります。今回はどの手法がおすすめと語るのではなく、マーケティングで「共感」という磁力で引き寄せるためには、何を高めていくべきなのかをお伝えします。「顧客満足度」「LTV」「マインドシェア」の3つが知るためにマーケティングの手法を作り上げていくと良いです。私はお客様に合わせてアンケートを作成し、回答ごとにそれぞれの得点を計算する仕組みを作りました。「顧客満足度」「LTV」「マインドシェア」の3つを可視化することによって、お客様が自社を選んでくれる「価値」を捉えていくことが成熟社会のマーケティングでは求められています。
【用語説明】
■顧客満足度とは
企業が提供する商品やサービスを購入する際に、顧客が感じる満足の度合のことで、CS(Customer Satisfaction)とも言われています。成熟社会の製品やサービスはどんどん高品質になっており、満足度は際限なく上がっています。もはや、ある一定の満足度では顧客は満足しないので、驚きや感動といったような感情を動かし、記憶に残していかなくてはいけません。
■LTV(ライフ・タイム・バリュー)
一人の顧客が生涯でどのくらい購入してくれるかを求めるものです。日本語で言うと、顧客生涯価値。通常、LTVと略して言われています。顧客1人ひとりの顧客生涯価値を計算するのは難しいので、顧客全体のデータで計算するのが現実的です。
LTV=年間取引額×収益率×取引継続年数
■マインドシェア
対象者の心の中にどの程度地位を抱いているかを示したものです。マインドシェアが高ければ高いほど「あなたなら」「あなたしか」と言ってもらえる可能性が上がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。お伝えしたことをまとめると・・・
●セールスとマーケティングの違いとは?それぞれの定義とは?
「セールス」とは物を自ら売りに行くこと、「マーケティング」とは物が勝手に売れるための仕組みのこと
●セールスではうまくいかなくなった理由、マーケティングが求められるようになった理由とは?
ものやサービスが不足している成長社会から、ものやサービスに溢れている成熟社会へと変化したから
●マーケティングで取るべき戦略は?
情報過多の時代では、広告を出しても効果は薄い。共感を得ることが最も重要
●マーケティング手法で良いのは?
「顧客満足度」「LTV」「マインドシェア」の3つを可視化できる手法を作ること
以上のことを意識してマーケティングを行っていくと良いでしょう。成熟社会では、いかに消費者を理解し、消費者の共感を得るかが重要です。