1輪のハンドメイド作品から空間プランニングまで。ドライフラワーで社会を彩るプロジェクト「謳花」（3/3）

どんな瞬間にも美を見つける。日本の美意識を映したドライフラワーを世界へ

　「当社が花材のアップサイクルに力を入れるのは、捨てるのがもったいないというより、それぞれに固有の美を感じるから。結果的に、資源を再利用する循環型社会に貢献できるのは有意義ですが、ものを作る以上、まずクリエイションが大切だと思います」

　展示会の際も、作品のビジュアルにひかれて足を止める人がいるとうれしいと語る石川さんのもとには、各方面からコラボレーションのオファーが舞い込みます。現在は、大手繊維会社と、廃棄繊維を花の梱包や空間装飾に利用する活動に取り組んでいます。

　今後については「枠にとらわれず草花の可能性と価値を伝え続けながら、個性をたたえ合う多様性の素晴らしさもメッセージしていきたい。そしていつか、“日本の”ドライフラワーを世界に発信できたら」と展望を描きます。　

　「華やかに仕上げるフラワーアレンジメントに対し、多くの素材を用いず、“空間を見せる”ことに重点を置くのが日本の生け花。また日本の精神として、枯れたり色あせたりする変化にさえ美を見いだしてめでる“わび・さび”がありますよね。命のはかなげな瞬間をとらえたドライフラワーを通じて、日本独自の美意識を広めていきたいですね」　

　お祝いのいただきものの花を再生するなど、多彩なプロダクト（製品）を手掛け、英語表記を併用したWEBサイトの整備も進行中。日本発の新たな花文化が国境を越える日も、遠くないかもしれません。

（取材年月：2023年8月）

■石川浩章プロのプロフィールを見る

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