三方よしの終焉
MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏によって、提唱されたモデルである成功循環モデルをご存知でしょうか。
組織を管理(Manage 英語翻訳:何とかする)のではなく、組織を信頼し支援するということがマネジメントと呼ばれる本質的な行動である。成功循環モデルでは、悪いサイクルである結果を求め→関係をその後作ろうとすることで破綻する。結果という恐怖による関係構築によって思考は「ねばならぬ」の状態になり行動の選択肢が結果を出すための短期的思考に陥り、サイクルが回っていくにつれて悪循環と化す。
最近のニュースでも新しいトヨタでの子会社の不正認証、ビッグモーターの会社全体での裏切り行為などがとても分かりやすい事例だ。本質を失い手段にのみ突き進んでしまうことが、悪いサイクルの典型である。
一方、良いサイクルは関係をまず構築しようとする。組織とは2人いれば成立する。一人の力ではどうにもならないことを複数の人間が手を組むことで人数の足し算ではなく掛け算が起こる重要な事と理解すれば自ずと正しい事がお分かりだろう。関係の質を高め、方向性・戦略・ビジョン・価値観・個性などの思考を整え高めていくことで、結果を生む出すための行動がより効果的に、そして再現高く行えるようになる。最後に初めて結果の質がサイクルとして回ってくるのである。
以前、NHKの番組でやっていたホモサピエンスとネアンデルタール人の特集で、頭脳が大きく頭が良かったネアンデルタール人が滅び、何故ホモサピエンスが生き残ったのかを観た時にとても衝撃を受けたのを覚えている。
ネアンデルタール人は、身体能力や知能が高かったが組織・集団が小さい傾向があったが、ホモサピエンスは周囲と群れを作り大きな組織として生活していたそうだ。そして、大きな生き残った決定的違いは成功体験の共有による発展であるという事だ。彼らは、大きな生き物を足すための道具の質を高め、食材の取り方や生活に知恵などを共有し再現性を高めることに長けてていたため、ネアンデルタール人の身体能力や知能を超えて発展していくことが出来た。
これを観て感じる最も組織において必要な事は、暗黙知を「共有化」し形式知に変え、形式知を個人の暗黙知に変える仕組化を行えるようにする。そして成功を共有するスケールアップできる人財を評価し、より再現性を生む事を大切にしてくことである。
マネジメントをする側の人間において、一人が複数名を見ていく。社長であれば会社全体に影響を及ぼす。その時に、関係の質を意識しながら企業のマネジメントしていくリーダー達に何を大切にしていくのか、どんな事が最も会社の事業を発展させ社会にインパクトを残し、社員を幸せにできるのかを考えられているのか。
ホモサピエンスの共有する能力がインターネットという最大のテクノロジーによって国を超えていく中で、正しい情報ばかりではなくなってきた。そして、自分にとって重要かどうかの判別すら出来なくなってきているのが昨今である。そんな中で、如何に組織を信頼し支援するための行動が出来る人財となるかが企業にとっての転換点となるだろう。
揺るがない軸を持ち、自分の哲学になぞらえ、人のために何かをする意識はどんな世も変わらぬ真理だと私は信じている。