「詰問」VS「質問」〜管理職たちの悩み~

伊東久

伊東久

テーマ:おもてなし経営のすすめ~働きがいを求めて~

ビジネスの現場でよく聞かれる、部下を叱咤する時の決まり文句があります。「何故こんなこともできないんだ!」や「何回言ったらわかるんだ!」など、叱られたことも言ったこともある経験は私だけではないかも知れません。

「詰問」は問いかけにあらず


 「何故こんなこともできないんだ!」と上司から怒られた時、部下はどう答えるでしょうか?「・・・すみません」としか言いようがないかも知れないですね。もし「いや教えてもらってません」と反発しようものなら余計に上司の怒りをかってしまうでしょう。だから「すみません」と謝るしかないのです。

 「何回言ったらわかるんだ!」こちらはどうでしょう?まさか「5回ほどお願いします」とは言えないですね。

 皆さん、お分かりでしょうか?この2つの叱りの言葉は、部下が答えられなくなってしまう質問なのです。これを、「詰める問いかけ」という意味で「詰問」と呼びます。実はこれらの「詰問」は、相手に問いかけているようで、答えを期待していないのです。ただ相手に感情をぶつけて「これだけ怒っているのだ」という意思表示であって、相手を自分の統率化に置いて満足しているだけなのです。「すみません」と言わせたいのです。

 これを受けた部下は、この先どういう仕事をするのでしょうか。きっとこの上司には、機嫌を損ねないように言われたことだけをやるようになるか、この上司の目の前でだけ頑張っている姿を見せるようになるでしょう。

「質問」の3つの効果

1.原因を探す努力をする


 コーチングという指導の概念に「相手をゴールに導く」とあります。そのためには3つも質問を使うと良いとされています。まず、「拡大質問」です。これはいわゆる答える範囲を狭めてしまわず、いろいろと広い範囲で答えを探してもらおうというものです。例えば「何故間違えたんだ?」となると、「私のミスです」と答えが絞られてしまう可能性があります。これを拡大質問で言うと「どこが間違えたのか?」と質問するとどうでしょう、いろいろ原因を探すようになりませんか?「何故?」は原因を個人に限定してしまう危険な言葉なのです。

2.手法を導き出そうとする


 次に「肯定質問」です。これは起きたことを否定してミスを認めさせることではなく、良い方法を考えてもらうようにするための質問です。例えば「どうして上手くいかないのか?」と、上手くいかないと否定して質問すれば、これも個人のせいにしてしまう可能性があります。これを「どうしたら上手くいくのか?」と上手くいくように肯定的に物事を考えさせる質問にすると、アイデアが浮かんでくるでしょう。上手くいかないことばかりを考えると、原因ばかりが浮かんで新しい発想が出てこないですね。

3.これからのことを考える


 3つ目は「未来質問」です。これは過去にこだわらず先のことを考えさせるという質問です。例えば「どうしてやらなかったのか?」となると、自分のせいにしてしまうか、他責を一生懸命探して過去をどう伝えようかだけになってしまいます。これを「どうしたらできるのか?」とこれからを問うようにします。すると、これから上手く進めるようにより良い方法を考えるようになっていきます。これからのことを考えると、突然表情が活き活きしてくるのもこの未来質問の特徴です。

「支配」から「支援」へ


 私は「説教」することは「相手を支配している」ことにつながると思っています。支配と支援については、「サーバント・シーダーシップのすすめ」として別の機会にお伝えします。

 多くのビジネスの場面で「説教」をしている時、実は部下は「どうやってこの場を凌ごうか」ということばかり考えています。いわゆる言い訳です。詰問や否定、過去にこだわって説教をされているので、逃れる言葉を一生懸命に考えるしかないのです。なので、説教されている側はメモも取らず黙って下を向き時間が過ぎるのを待っています。

 「支援」とは、部下の能力を最大限に導き出すために、アイデアやこれからの対策などいろいろな発想を考えられるようにすることです。それがこの「3つの質問」から支援するということになるのです。この「支援」をしている時、部下は上を向いてアイデアをメモに書き留めています。明らかに、上司と部下が話し合っている光景で、「支配」と「支援」の違いが分かります。

管理職たちの悩み


 コンサルティングの現場で、管理職の方々からこういう質問がありました。
 「部下と一緒に取引先に出かけるが、もっと自分をアピールして新しい仕事がもらえるようになって欲しいが積極性がない」「仕事に対する意欲が低い」「簡単なことが4年目社員でできないことがある。育成したいが困っている」これらの悩みを訴えられました。他にも、「レベルが低い。決まったことしかやらない」という悩みも多くあります。私は、全ての場面でこう答えています。「それは皆さん先輩方の質問が上手くできず、育っていないのです」。更に「皆さんのせいでそうなったのです」とはっきり伝えました。いわゆる詰問や過去を問いただしたり、否定的なことを言って、「支配」していたからです。

 育っていない部下は、先輩たちの指導の結果なのです。その考え方に思考を切り替え、これからの指導の在り方を「3つの質問」を上手く使いながら、多くの部下たちの成長の手助けができるようにしていけるよう、コンサルティングと研修の両輪で組織活性化を図っていくお手伝いをしております。
 おもてなし経営は、成長を手助けする組織環境をつくることから始まります。
こちらからどうぞお問い合わせください→おもてなし経営研究所

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伊東久
専門家

伊東久(経営コンサルタント)

株式会社おもてなし経営研究所

現場での接客と、組織マネジメントの経験を併せ持った視点から、顧客に愛され支持される「おもてなし経営」を目指した組織づくりを支援。従業員の力を引き出すコンサルティングと豊富な経験談を交えた研修が好評。

伊東久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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