「働きやすさ」VS「働きがい」~ES調査の求めること~
顧客の期待
東京の日本橋にあるお蕎麦屋さんにコンサルティングとしてお手伝いしたことがあります。コンサルティングに入る前に、店舗の覆面調査をしました。小さなお蕎麦屋さんですが、店員さんは活き活きと働いていて、とても活気のあるお店でした。メニューも豊富でお蕎麦も美味しくいただくことができました。カウンターにはだし汁が瓶で売っていて、綺麗に並べられ「テレビで話題沸騰のお店の商品が自宅でも味わえます!」と工夫されたPOPでお持ち帰りを促していました。立ち止まってだし汁を眺めていると、「如何ですか?今なら大特価10%引きなんです!」と声をかけてお勧めしてくれました。「通常は1本500ml入りで900円のところ、2本で1,620円なんです」という説明でした。店員さんは笑顔で一生懸命に売り込みをしていました。しかし、こちらは500mlで900円の価値がどうも理解できず、「この瓶でどれくらい入っているのですか?」と質問をしました。すると「500mlです」という返答でした。ちょっと質問の仕方が悪かったのか、再度「500mlということは、何回分ですか?」と聞き直しました。すると「えーと、そうですねぇ」と困ったような表情になり、「蕎麦や煮物などいろいろ使い道があるので、一概には・・・」と、急にトーンダウンしてしまいました。結局、500mlと900円の価値感覚が見当つかず、その場を去って行きました。
お客様視点の説明力
お蕎麦屋さんの会社で覆面調査の報告会がありました。私は報告の第一声で「売上拡大のチャンスを見つけました!」と伝えました。実はこの店舗、客席数は限られているし、回転数でも限界があるので、持ち帰り用のだし汁で少しでも売り上げ拡大をしようと販売を強化していました。しかし、簡単には成果に結びつかなくて悩んでいたそうです。POP展開や、2個で割引きセールなどの工夫をしながら、少しでも多く売るように一生懸命と従業員にも徹底をしていました。
更に報告を続け、結論をこう伝えました。「売上拡大のチャンスとは、①このお店ならではのだし汁の特徴を前面に出し、お客様に興味を持ってもらいましょう。②お客様それぞれに合った商品の価値を、お客様視点で伝えましょう。この2点です。
まず①では、他店とは違う味、原料などによるお客様に響く特徴を一言でPOPや口頭でアピールすることとします。重要なのは、店内で召し上がった後の感想を聞くことです。その会話からお客様の好みを聞き出し、どんな料理に興味をもっているかを把握することです。
次に②では、お客様の好みが把握できたところで、500mlの使い道をしっかりと伝えられることです。例えばお蕎麦なら11杯分、家族4人なら約3回の食事になります。更には、1杯当たり82円ですから、10%引きだと2杯分がお得になる計算です。お蕎麦だけではなく、煮物などの他の料理でも同様に計算をすればお客様視点で伝えられます。
またお客様が『いいな』と思うポイントとして『便利性』があります。これ1本で○○通りのお料理に活用できるということを伝えると更に効果的です。同様商品のホームページを検索すると、煮物、麺類などの料理アイテムが12アイテム、レシピ料理数はなんと336品も掲載されていました。『お客様の好みに合わせて○○料理にも使えます』というトークはお客様にとっての価値観に直結します。こういう一連のトークのことを『価値トーク』としましょう」こう報告しました。
ベネフィット・カスタマーのすすめ
お客様が購入を決めるのは、まず1つ目に、入り数や量、産地や製法という提供者側の特徴という「商品ありき」ではなく、自分の好みに合うかどうかの決定づけるモノ(特徴)を発見できた時です。2つ目に、「価格ありき」(安さ)ではなく、自分にとって得かどうかを知ることができた時です。3つ目に、自分に対してだけ特別に教えてくれた感覚を会話から味わえることだと思っています。すなわち、これができる人(店員)を多く育てることが、これからの差別化戦略には有効で販売増に直結すると考えます。
お客様にこういう価値観を伝えられるようになることを、私は「ベネフィット・カスタマー」“顧客の利益創出”と呼んでいます。商品力、便利性、価格では劣らないものの、販売が思うように伸びずありきたりの接客から脱被できずに苦しんでいる企業向けに、組織活性化プログラムでこの「ベネフィット・カスタマー」プログラムを提供しています。一人ひとりのお客様に寄り添い、「こんなものが欲しかった」という潜在的なニーズを引き出せる「人」がたくさんいる企業になるために、導入から育成の手順までをアドバイスしています。
是非、こちらの組織活性化プログラム「ベネフィット・カスタマー」”顧客の利益創出”をご覧ください。
お問い合わせは、おもてなし経営研究所までお気軽にどうぞ。→https://www.omotenashikeiei.co.jp