社内AIチャットを速く安く。判断専用AI「Jev」を使う新しい設計

野口真一

野口真一

テーマ:AI

文書フォルダの樹形図を走る光
社内の規程やマニュアルを読み込ませたAIチャットを導入したものの、「答えが返ってくるまで待たされる」「1回ごとの利用料が読めない」「肝心の例外ルールを見落とす」といった声を聞くことが増えました。こうした悩みに対する新しい解決策を、当社が運営する技術解説サイト「Corpus2Skill Navigator」で全5章の緊急特集としてまとめました。専門知識がなくても全体像がつかめるよう、ポイントをご紹介します。

社内AIチャットが「遅くて、ときどき間違える」理由

いまの社内AIチャットの多くは「RAG(ラグ)」という仕組みで動いています。質問が来ると、社内文書の中から関係がありそうな部分を探し出し、それをAIに渡して回答を書かせる方法です。

ところが、文書は数百文字ずつの細切れにして保存されるのが一般的です。そのため「出張の宿泊費は1万円」という条文は見つかっても、数ページ先にある「ただし役員は実費精算」という一文は拾われず、AIは自信満々に誤った答えを返してしまいます。精度を上げようとAIへの問い合わせを何度も重ねると、今度は待ち時間と費用がふくらみます。

「探す」から「目次をたどる」へ

そこで注目されているのが「Corpus2Skill(コーパス・トゥ・スキル)」という方法です。文書を細切れにせず、人が本の目次をたどるように、AIに「分類フォルダ」を順番に開かせて目的の文書を丸ごと読ませます。例外ルールを見落としにくくなる一方、フォルダを1つ選ぶたびに文章を書くAIを呼び出すため、時間がかかるという弱点がありました。

「選ぶだけのAI」Jevとの分業

この弱点を補うのが、2026年9月に米国のTypeSafe AIが公開した「Jev(ジェヴ)」です。Jevは文章を書かず、用意された選択肢から最もふさわしいものを選ぶことだけに特化したAIです。開発元の公表では、判断にかかる時間は0.07〜0.5秒程度とされています。

フォルダ選びはJevに任せ、最後の回答文だけを文章を書くAIに任せる。人間でいえば「直感で道を選び、じっくり考えて文章を書く」という分業です。正確さを保ちながら、待ち時間と費用を抑える設計として期待されています。

特集で解説していること

特集では、従来の仕組みの課題からCorpus2Skillの考え方、Jevの特徴、実際のシステム設計と注意点、そして技術者向けの実装例までを、図解と表を使って順番に解説しています。開発元の公表値と編集部の試算は区別して記載しました。社内AIの導入や見直しを検討している方の判断材料になれば幸いです。

緊急特集「RAG×Jev」を読む

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野口真一
専門家

野口真一(AIコンサルタント)

オフィストゥルーワン

IT業界で培った知見と地域活動の経験を生かし、AIを活用して町会やPTA、マンション組合の業務改善を支援。問い合わせ対応の自動化やオンラインでのスケジュール調整により、運営の負担軽減を目指します。

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