長期的に人と良好な関係を続けていく秘訣
長期療養を余儀なくされる病気やケガは、企業の経営者にとって大きなリスクとなります。
特に中小企業の経営者や自営業のかたは、長期療養が経営に大きく影響するため、常日頃からしっかりとした備えをしておかなければなりません。
しかしどんなにしっかりとした備えをしても、病気にかかるリスクは生じます。
その中でもうつ病には十分な注意が必要です。
そこで今回は自営業、経営者のためのうつ病との向き合い方についてご紹介します。
うつ病とは?
「うつ病」という言葉を知らないというかたはいらっしゃらないと思います。
しかし具体的にうつ病とはどういったものなのかを答えられるかたは少ないのではないでしょうか。そこでまずはうつ病とはどういった病気なのかについて簡単にご説明します。
うつ病とは、「憂うつである」、「気分が落ち込んでいる」、「思考能力の低下」、「睡眠の異常」、「食欲の低下・増加」、「疲労と倦怠感」などといった状態がある程度以上、重症である状態のことをいいます。
うつ病には外因性(身体因性)、内因性、心因性(性格環境因性)などいくつかの種類があります。
外因性うつ病とは、脳の病気、身体の病気がうつ状態の原因となっているものです。
内因性うつ病とは、その人の体質や、遺伝的なものが原因となっているものです。
そして心因性うつ病とは、精神的な葛藤、心理的ストレスのほか、性格によるものが原因となっているものです。
内因性と心因性に関しては、その違いについて明確に区別することはできないのが現状です。
経営者がうつ病になる背景とその原因
中小企業の経営者や自営業者の特性として、経営と資本、法人と個人を分離していない、万が一のことがあった際、すべての責任を自らが果たさなければならない、といった傾向があります。
また性格的にも、プライドが高く、名誉を重んじるといったかたが多いのではないでしょうか。総じて弱みを人に見せず、一人で抱え込んでしまうことで、孤独になりがちといった面があるようです。
こうした経営者、自営業者の特性、そして性格的な面を見るに、うまくいっている時はまだ問題ないかもしれません。しかし例えば業績悪化であったり、優秀な労働者の転職であったり、社内の人間関係問題など、悩みごとが増えれば増えるほど心労がたまっていき、うつ病を発症する可能性が高まります。
経営者や自営業者にうつ病を発症するかたが多いのには、こうした特性や性格的な特徴が大きく関与しているといえます。
心のケアの重要性
2015年12月に労働者が50人以上いる事業所ではストレスチェックが義務化されたこともあり、労働者に対するメンタルケアへの取り組みは少しずつながらも進んでいます。
しかし経営者に対するメンタルケアへの取り組みは依然として遅れているというのが現状です。経営者は、自ら常に自分自身の体調、心身状態のチェックを怠らないようにしなければなりません。
うつ病は特殊な病気で自分には関係ないと思われる経営者、自営業のかたも多いかもしれません。しかし、うつ病は決して珍しい病気ではありません。
実際、厚生労働省が実施している患者調査によると、日本の気分障害患者数は1999年には44.1万人でしたが、2014年には111.6万人と、15年で約2.5倍も増加しています。
また前項でもご説明したように、経営者の特性、そして抱える悩みやストレスは、うつ病に直結するケースが多いことから、いつ、うつ病を発症しても不思議ではないのです。
そういった意味でも労働者だけではなく、経営者に対する心のケアは必須だといえます。
心をケアする方法
経営者、自営業者がうつ病を発症してしまえば、すぐに経営危機に陥ってしまうリスクがあります。そうなれば労働者に不安を与え、離職者が出てさらに不安が増すといった形で悪循環が続きます。これを防ぐためには、健康を維持するための施策はもちろん、心のケアをしっかりと行うことが重要です。
具体的な心のケア方法ですが、まずは労働者同様にストレスチェックを定期的に行うことをおすすめします。そのうえで少しでもストレスがたまっている、疲れているという結果が出たら、まずは2~3日でも構わないのでゆっくりと休養を取ってください。
これぐらいたいしたことがないと、ストレスがたまったままの状態で働くことを、
軽視してはいけません。
うつ状態という未病のまま、頑張れば治る・気力があれば解決すると自分を奮い立たせていると、確実にうつ病を発症します。そこまで進行すれば、カウンセリングの専門家や医師などの指示に従って治療を行う必要があるということを、理解しましょう。
いざという時が来てからでは遅すぎます。企業にとって大きなリスクを軽減するためにも、常日頃からストレスをためない、疲れを抱えないことを意識するとともに、少しでもおかしいなと思ったらできるだけ素早くカウンセリングの専門家や医師に相談するようにしましょう。