ハザードマップと不動産
相続財産に「売却が難しい土地(いわゆる「負動産」)」が含まれている場合、相続人は対応に悩むことが多くなります。
以下に、よくある問題点と考えられる対応策を整理します。
相続財産の中に「売却が難しい土地」が含まれていると、相続人は大きな悩みを抱えることになります。
こうした土地は「負動産」とも呼ばれ、管理コストだけがかかり続ける存在になりがちです。
特に問題となるのが、そもそもその土地に“需要がない”というケースです。
立地や地域性の問題で、買いたい人がいない土地は、いくら条件を整えてもなかなか売却につながりません。
今回は、そうした「売却が難しい土地」への対応策を、実務の視点から整理します。
売却が難しい土地の特徴
以下のような条件が重なると、市場での流通が難しくなります
- 需要がない地域にある(人口減少・高齢化が進んだエリアなど)
- 接道義務を満たさない(再建築不可)
- 極端に狭い、または形が悪い
- 崖地や傾斜地など物理的制約がある
- 境界が不明確で隣地とのトラブルリスクがある
- 土壌汚染、ゴミの不法投棄などが放置されている
- 借地権・地上権など、権利関係が複雑
- 都市計画における制限(市街化調整区域など)がある
特に「需要がない土地」は、上記の物理的・法的な問題に加え、市場そのものが成立していないという根本的な課題があります。
よくある問題点
こうした土地を相続すると、以下のような問題が発生します
- 利活用できない土地でも固定資産税が毎年発生
- 売却できず現金化できない
- 放置すれば近隣トラブルや行政指導のリスク
- 相続放棄すれば他の資産も放棄しなければならない
- 相続人全員が管理・処分の責任を負う
対応策と選択肢
① 他の相続人との調整(遺産分割)
- 他の資産(預貯金・有価証券など)と組み合わせて代償分割を検討
- 他の相続人が土地を引き取る代わりに、金銭を分配
- 共有名義にする場合は、後々のトラブルを防ぐために管理ルールを明文化
② 不動産調査による活用可能性の見極め
- 現地確認・役所調査・不動産市場調査を実施し、売却や賃貸の可能性を探る
- 地元の不動産業者や相続・不動産に詳しいFPのサポートを受ける
- 隣地所有者への譲渡・売却打診も有効(境界確定や合筆により需要が生まれるケースも)
③ 「相続土地国庫帰属制度」の活用(令和5年4月開始)
要件を満たせば、不要な土地を国に引き取ってもらう制度。
ただし、この「相続土地国家帰属制度」いろいろ条件や負担もあります。
- 「相続」で取得した「土地」のみが対象
- 共有の場合は共有者全員の合意が必要
- 要件・審査が厳しい
- 負担金が高い
など審査や要件が厳しく、申請費用や条件整備が必要ですが、手段のひとつと言えます。
④ 別の用途での活用
- 駐車場・資材置き場・太陽光発電など、需要がある使い道が見つかる場合も
- 一定期間だけ貸す「短期賃貸」なども検討余地あり
需要がなくても“手放す”道はある
需要がまったくないように見える土地でも、「第三者に譲渡」「相続人間での調整」「国への引き渡し」など、対応方法は存在します。
ポイントは、放置せずに早めに専門家へ相談することです。
相続が発生してから慌てて対応するよりも、生前のうちに土地の活用や処分について検討しておくことが、後のトラブル防止につながります。
西山ライフデザインができること
西山ライフデザインでは、不動産の専門知識とファイナンシャル・プランナー(CFP)の視点を活かし、以下のような支援を行っています:
- 売却が難しい土地の法務・税務・市場調査
- 相続人間の合意形成サポート(遺産分割協議支援)
- 地元不動産業者との連携による売却先の探索
- 「相続土地国庫帰属制度」活用の可否診断と申請支援
まとめ
「売れない土地」「使えない土地」は、放置すれば相続人の負担になりますが、適切に調べて対応すれば、活路が見出せる場合もあります。
特に「需要がない土地」は早めの対策が重要です。
お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。



