特別定額給付金
今回の参院選では参議院の定員の半数が改選されます。
現在、与党(自民党・公明党)が占める参議院での議席数は141議席ですが、改選にならない議席が75議席。
参議院の定数は248議席なので、半数は124議席、与党としては過半数となる125議席を確保するためには少なくとも50議席を今回の選挙で確保するのが「最低ライン」と考えられます。
今回の選挙の争点の一つとして「物価高対策」が挙げられています。
与党は「一人2万円の給付」、一方野党は「消費税減税」や「社会保険料の削減」を掲げています。
もちろん、そのほかにも様々な政治的課題があり、すべての課題について個々人の考えと完全に一致することはないと思いますが、より自身の考え方に近い党の候補者に投票することを考える必要があります。
だいたい、「給付」や「減税」は経済効果の側面から考えれば物価を押し上げる方向にはたらくと考えられます。
人々の購買力が上がれば需要が拡大し、その結果として物価は上がる方向に働くはずです。
本来の物価高対策は、その原因を改善していく必要があるはずです。
考え方が近いことも重要なのですが、その考え方に矛盾はないか、実現可能性があるかといったことも併せて考える必要があります。
日本は借金大国です。2024年末現在で1317兆円もの借金があります。
日本は自国の通貨を自国で発行していますので、「国債発行で破綻することはない」と言われています。
しかし、仮に国債の返済を通貨発行で賄った場合、国際価格が下落(利子が増大)し、国債が売れない、利払費負担が増えるなどにつながりかねず、現実的ではありません。
一方で、日本は世界最大の債権国、つまり他国に対するお金の貸し手でもあります。
日本が最もお金を貸しているのはアメリカです。アメリカ国債を保有する形でアメリカにお金を貸しています。
しかし、日本がこの米国債を「売る」という判断も現実的ではありません。
アメリカも多くの国から借金(多くの国がアメリカ国債を保有)をしており、最大の債権国である日本が米国債を売れば、米国債の信用が落ち、世界経済を混乱に巻き込みます。
こう見ると、日本は独自に財政健全化を進める必要があることになります。
こうした中でありながら、今回の参院選で「給付」や「減税」が大きな争点になっていることには違和感を感じます。
今回の選挙で勝つために各党が「耳障りの良い」「即効性のある」対策としてこうした争点を作り出していますが、もっと長期的に「財政を健全化するための対策」「次の世代に先送りしない政策」を打ち出せないものなのか、と思います。
私自身は「少子化対策」にもっと真剣に取り組んでいただきたいと感じています。
岸田内閣時代に「異次元の少子化対策」と掲げておきながら、実際には、2024年の出生数は70万人を割り込みました。
100万人を割り込んだのは2016年ですので、この9年で出生数30%以上も減少したことになります。
少子化により日本の社会保障制度は危機に瀕しています。
教育費無償化など、子育て政策には一定の施策が打ち出されましたが、少子化の改善には全く寄与していないといえます。
着目すべきは婚姻数の減少、未婚率の増加、晩婚化だと考えますが、コロナの影響もあり、出会いが減り、婚姻数も急激に減少しました。
その結果が現在の急激な出生数の減少にもつながっています。
日本の少子高齢化が問題視されるようになってずいぶん時間が経ちますが、全く改善されていない、むしろ悪化している現状にしっかり向き合ってほしいと思います。
しかし今回の選挙で「少子化対策」を争点としている政党はほとんどありません。
長期的な視野に立てば、これからの日本を支える子どもたちの存在は極めて重要です。
こうした状況下で行われる今回の参院選。
なんだか、目先のことばかりが取り沙汰され、将来の日本の国の在り方にしっかり目が向いていないのではないかと感じます。
どの政党に投票するのが将来の日本をよくすることにつながるのか。難しい選択です。



