フランス大統領選の結果と今後の考察
「西松建設」に続いて、大手建設会社「清水建設」も現場閉所方針公表しました。
一昨日は準大手ゼネコンの西松建設が、昨日は大手ゼネコンの清水建設が非常事態宣言の出されている7都府県での作業所をすべて閉所する方針であることを発表しました。
清水建設は私が以前勤めていた会社でもあり、昨日、同期の友人から「亡くなった人も出ている」という連絡をもらって驚きました。
報道によれば、清水建設では3人のコロナウイルス感染が確認され、1人がお亡くなりになったとのこと。
施工中の現場では、窓が閉まっていて空調がまだ動かないという場合もあるでしょう。現場事務所では様々な手配や事務作業などもあり、在宅勤務が難しい業種の一つだと思います。
ゼネコンの場合、施主(=発注者)との間で工期も含めて請負契約を締結しています。特に日本のゼネコンはよほどのことがない限りを施主に申し入れることはありません。
発注者としても、引き渡しが遅れ、施設の利用開始が伸びれば、その分収益を得る機会を失うことにつながる可能性があります。また、分譲マンションなどの場合、そこに入居を決めている人たちの転居・移転などの予定も決まっている場合があり、そうした人たちへの補償をどのように考えるかについても施主と施工者の間で協議する必要があります。
日本のゼネコンは「工期が間に合わない」ということは極めて稀であることから、引渡し後の予定も既に決まっている場合が多いでしょう。場合によっては「損害賠償」などという話に発展する可能性もあります。
さらに、現場では日雇いや日給で報酬・給与を得ている人も多く、現場の休止によって、所得を失うことになる人は少なくありません。場合によってはほかの稼働中の現場に移ってしまう場合もあるでしょう。人材不足の中、腕の良い職人は他の建設会社でも需要があり、他の現場に移ってしまうと、閉所を解除した後も戻ってこない可能性は否定できません。
今回の場合、
人命にかかわる話であること
非常事態宣言が発出されていること
などから、施主の理解も得やすいと判断されたと考えられます。
清水建設が現場閉所の方針を発表する前、他の大手建設会社の動向は
大林組…原則として工事続行
大成建設…発注者からの要請があれば個別に協議
鹿島…自社から積極的には申し出ない
などと方針を打ち出し、ほとんどの会社が原則として工事を続行する意向を示していたようです。
作業所を閉所するということは会社が事業も継続していくうえでかなりリスクが高いと言わざるを得ません。
日本のゼネコンは横並び意識が強いと言われます。
非常に多くの競合会社がある中、これまでも他社の様子を見ながら週休二日制の導入などもなかなか進まなかったのがこの業界です。他社よりも安い工事費で施工すること、工期を短縮することなどが施主の事業収支にも大きく影響し、結果として施工業者選定のポイントになってくるケースが少なくありません。
現場がリースで使う資機材も工期が短ければ損料が少なくて済むほか、携わる人工(にんく)が少なくなれば人件費も圧縮できます。
今回のような非常事態が業界への施主、発注者への理解を深めるきっかけになるかもしれません。
とにかく、人の命にかかわる事態において、清水建設が現場閉所方針を決めたことは、きっかけは社員の命が失われたことかもしれませんが、こうした業界の慣習に一石を投じる機会になるかもしれません。
他の建設会社も「企業の社会的責任」として、こうした取り組みを検討してもらいたいものだと思います。
それにしても、施主と現場を閉所するための交渉をする営業マンは、事態が事態だけに電話で交渉するのは難しく、施主も担当者では判断できないと思われる中、難しい状況だろうなぁと思います。