相続対策はすべての方に必要な身近な問題です
定年が近づいてきたけれど、住宅ローンがまだ残っている。
退職金で一括返済すれば毎月の返済もなくなり、すっきりする。
そう考える人は少なくないでしょう。
でも、本当に大丈夫でしょうか。
住宅ローンはおそらく、普通の人が借りられる最も金利の安い借金です。
日本人の平均寿命は右肩上がりで伸びています。
仮に90歳まで生きるとしても65歳からはまだ25年。
もし100歳まで生きるとするとあと35年。
この間に年金収入はあるでしょうが、それ以外の収入は減り、多くの人が資産を切り崩しながら生活することになるはずです。
最近は定年年齢が60歳から65歳、人によってはそれ以上働く選択肢も増えています。
年金の支給は65歳からが基本ですから、60歳で仕事をやめ、収入がなくなると65歳になるまでは無年金で見る見るうちに資産が減っていきます。
先日、「老後2000万円問題」が話題になりましたが、本当に不足する金額は人によって違います。
定年後、どのような生活を送るかによって必要な老後資金の額も様々です。
もっと必要な人も少なくないでしょう。
一般的に、住宅ローンには団体信用生命保険が付保されています。
もし、ローン返済中にお亡くなりになるようなことがあってもローンの残債は保険で支払われます。
一括返済するということは、この保険もなくなるということ。
定年後に何らかの資金需要ができて、借り入れようと思っても収入が減り、あるいはなくなってしまっていると新たな借り入れは不可能に近いと言えます。
不動産担保ローンなどを活用する方法はありますが、住宅ローンよりもかなり高い金利になります。
今の日本の年金システムでは、年金だけで老後資金を賄うことは大変難しいと言えます。
となると、大切なのは老後資金をいかに蓄えておくかということ。
日本人は「借金は早く返してしまいたい」と考える人が少なくありませんが、借金とうまく付き合うことも重要だと言えます。
利息を支払うのがもったいないという気持ちはわからなくもありませんが、よほど潤沢な資産があるのでもない限り、退職金で住宅ローンを一括返済するのは慎重に検討すべきです。