「地域を見守る目」の復活を
3年に一度、議席数の半分が改選される参議院選挙が昨日告示されました。
今回、主な各党の主張として、注目されるポイントは「憲法改正」「消費税増税」「年金問題」の3つでしょう。
FPとして、年金問題と選挙、政治について考えます。
直前にクローズアップされることになった「老後2000万円」と「年金」の問題。本来別の争点、政策がポイントになるはずだった選挙だったと思います。与党にとっては、12年前の選挙で「消えた年金問題」が争点となり、大敗した痛い過去があるだけに悩ましいところかもしれません。
年金の制度や少子高齢化の進行によって、当初想定されていた年金の制度設計はかなり苦しくなっていることは間違いないでしょう。一方で、それを補うような制度の変更には大きな財源が必要になります。ただ、何とかしろと言っても何ともならない。今後ますます進行することになる少子高齢化に向け、少しでも早く「安心」できる制度に向けた具体的、現実的な取り組みを明らかにしていく必要があるでしょう。
もともとは「積立方式」を想定して作られた年金制度は現在「賦課方式」に切り替わってしまっています。積立て方式は自分のもらう年金を自分で積み立てる仕組みであり、賦課方式は現在の受給者の年金を現役世代が支払っている仕組みです。
今回の選挙で日本維新の会は時間をかけて「積立方式」に切り替えていくことを実現しようとする政策、公約を打ち出しています。自分もこれには賛成ですが、現実的にはかなりハードルが高いでしょう。しかし、子供たちの世代の負担を減らすためには必要な取り組みだと言えます。
少子高齢化が進んでいる日本の政治は、高齢者の有権者数のほうが若者の数よりも多いため、高齢者に受けのいい政策を表に出すほうが当選しやすいと言えます。しかし、これからの日本を支える若者、子供たちが将来に希望を持てる社会を実現することは今の大人たちにとっての責任です。
私自身、51歳になり、おそらく、高齢者と若者の間の世代です。子を持つ親としても、日本という国を誇りをもって、愛せる国であり続けるようにするためにも年金制度については改革をして欲しいと思います。
一方で、かつての民主党政権時代の政権運営能力の低さを感じざるを得なかった記憶は強く残っており、政権交代は現実的ではないと感じます。与党内で、もっと未来の話をして欲しいと期待するのは難しいのでしょうか。
平成29年の衆議院選挙で初めて18歳から投票できるようになりました。
10代の投票率は40.49%でした。20代ではもっと低く33.85%、30代では少し上がって44.75%。30代以下の若者の投票率は50%にも届いていません。
(他の世代の平成29年衆院選の投票率40代53.52%、50代63.62%、60代72.04%、70歳以上60.94%、全体平均53.68%)
若者世代の政治への関心が高まり、投票率が上がれば政治はその声を無視できません。本来、自分たちの未来を作るための政治がこのままでは高齢者優先で進められてしまいかねない。
年金問題が争点になると、高齢者、現在の年金受給者やもうすぐ受給者になろうとしている人達の世代は「年金を減らされたら困る」と思うでしょう。気持ちはわかります。共産党は「減らない年金制度の実現」をうたっていますが、それはすなわち若者の世代への負担の先送りとも受け取れます。今の年金制度のままでも制度の維持には不安がある状況です。改革には時間がかかるのも仕方がないと思います。でも、始めなければ変わらない。その声を若者を含めた現役世代から発しなければいけないと思います。
日本の将来を真剣に考えるためにも特に20、30代にもぜひ投票に行って欲しい。自分の意見を一票に託すことの重要さを感じてほしいと思います。投票日に行けなければ期日前投票をしてください。
投票をすること、その一票について考えることが未来につながると思います。