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コラム
賃貸経営の相続・事業継承
2019年4月11日
最近は不動産によって相続税対策をしている人が増えました。
現金で資産を持っているよりも、不動産の方が相続税を計算する際の評価額が下がり、相続税額の圧縮につながることが最大の魅力だと考えられるからです。
ただし、相続税を下げること=相続対策ではありません。
賃貸不動産経営は事業です。
税法的に「事業的規模」にあたるのは「5棟10室ルール」が適応されます。
賃貸不動産が建物5棟あるいは10室を超えると税制面で控除できる経費額が増えメリットが増えますが、たとえ1室でもそこから収益などが生まれるので、事業であることには変わりません。
事業である以上、相続などが発生したときには、次の世代へスムーズに引き継がれる準備が必要です。
賃貸不動産には居住者がおり、建物オーナーには、居住者の快適性を確保する義務があります。
オーナーがなくなると、相続が発生します。個人事業主として賃貸事業を行っている場合、相続が発生すると、預貯金の引き出しが凍結されます。
(民法改正により、一部緩和される予定ですが、多額の引き出しはできなくなります)
賃貸事業を行っていれば、管理運営費、原状回復やリフォームなどの費用を拠出できなくなりかねません。
また、入居者の状況や管理会社との連絡窓口などがスムーズに引き継がれないと滞納を放置することになったり、クレーム対応が遅れたりすることも懸念されます。
また、オーナーが認知症になってしまった場合にも契約行為ができなくなり、事業が継続できなくなります。
不動産事業は、様々な人や会社との関係の上に成り立っています。ほかの資産と異なり頬っておくわけにはいきません。
会社などの組織で継承すべきものは「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、個人で行う不動産事業でも同じことが言えるでしょう。
カネ(金)は文字通りお金に関すること。
預貯金の口座などをリスト化するとともに、当面の運転資金を引き継ぐ人に生前贈与したり、生命保険を活用するなどしておくとよいでしょう
モノ(物)は不動産そのもののほか、契約書類や、帳簿、管理に係る入金管理表やレントロール表、図面や建築確認、税金に関する資料や借入金に関わる状況などです。
普段パソコンなどを利用している場合はどんな資料があるかはもちろん、IDやパスワードなども併せて引き継げるようにしておきます。
ヒト(人)は賃貸経営に関して関わっている人や会社などのことです。
連絡先や依頼している内容などを記録しておきましょう。管理会社や税理士、その他、必要に応じて記録しておくとよいでしょう。
自分自身はよくわかっていても、引き継ぐ人に不動産管理のノウハウがないと、何をどうやって進め、管理すればよいのか困るはずです
不動産は何かと手がかかり、負担もある資産です。
安易に「不動産で節税」と考えるだけでなく、引き継ぐ時のことも考えておくことは重要です。
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