国交省が土地境界のルール緩和へ
不動産業界は2月3月が繁忙期と言われます。
弊社はほとんど賃貸は扱わないことと、ひとりひとりのお客様とじっくり進める仕事が多いので、あまり実感はありませんが。
そんな弊社ですが、お客様から賃貸のご相談を受けました。
普通の不動産屋さんならばこの季節、就職、就学、転勤に伴う需要が多いのでしょうが、弊社に頂いた相談はそのどちらとも違うものでした。
ある1本の電話から始まりました。
今お住まいの物件が近々建て替えになるため、転居を迫られたお年寄りからの「転居先を探してほしい」という依頼でした。
他の不動産屋さんにも連絡されたようですが、ちょうど繁忙期に重なったこともあるのでしょう。どこに掛け合ってもまともに話を聞いてもらえなかったようです。
お困りなのは痛いほど伝わってきました。
大家さんの都合で立ち退く場合、入居者としての立場についての認識など伝えるべきこともあります。いろいろアドバイスをさせていただきながら対応させていただきました。
とはいえ、容易に想像がつく通り、お年寄りがお住まいになる住宅を探すのは簡単ではありません。
まず、1階限定。2階以上の場合はエレベーター必須。家賃も上限がありますし、できれば駅から近いところがいい。
その他にも当然いくつか希望条件があります。それだけでも物件は限られてきます。
条件に合う物件があったとしても管理会社などに問い合わせると、年齢をお伝えしただけで「すいません、無理です」と言われる物件が80%以上。
決まるまでほぼ丸2ヵ月かかりました。
お客様からは「本当にありがとうございます」と感謝のお言葉をいただいております。
以前にも書いたことがある「高齢になってからの賃貸暮らしのリスク」を身近に感じました。
これから高齢化社会がますます進行し、このような事例が増えてくると思います。
区などの自治体も高齢者向け住宅の支援事業などを行っているところがありますが、全てが使えるわけではありません。
住宅を取得にはタイムリミットがあります。
ある年齢を超えると低利、長期返済の住宅ローンは使えなくなることもあります。
そうなると、他の資産を売却するか、現金で資金を用意する必要がありますが、そんな資産はお持ちではない場合のほうが多いでしょう。
持ち家か賃貸かの選択をするうえでは「生涯に支払う住居費の多少」に着目されがちですが、それ以外にもさまざまな制約が出てくることがあります。
困っている人を助けるのも大事な仕事です。
でもできれば、困る可能性を最小化し、20年、30年経ったとき「あの時に相談しておいてよかった」と思っていただけるようなお手伝いができれば幸せに思います。