相続対策の基本(5) 相続財産としての不動産の評価(1)
昨年末、弊社にご相談をいただきました。
11月にとても親しくしていた叔母様が亡くなられた方でした。
何から手を付けてよいかわからない、ということでご相談にお越しになりました。
旦那様は既にお亡くなりになられており、お子様もいません。
80歳を超えていましたので、ご両親もいません。
ということはご兄弟が法定相続人になりますが、ご兄弟の中にも亡くなられている方がいます。
ご兄弟の関係の方は国内ではありますが、遠方にお住まいで、なかなかお会いする機会がありません。
ご相談に見えた方は亡くなられた方の妹さんのお子さん。
その方は相続人ではありません。相続人となるお母様もご高齢であまりご自身で手続きに動くことはできません。
亡くなられた叔母様と生前から親しくしていた甥に当たる方からのご相談です。
実はこの方、昨年秋に遺言書の作成などについて年末年始におばさまと相談しようと思っている、との相談があり、その時に遺言書作成のためのポイントなどを少しお話ししていました。
ご相談される前の昨年秋に急にお亡くなりになり、、対応が後手に回ることになってしまいました。
今回のケース、遺言書があればかなり手続きはスムーズになっていたはずです。
配偶者もお子様もおらず、ご兄弟あるいはそのお子様が相続人となる場合、兄弟には遺留分はありませんので、遺言書があれば遺産分割協議も必要なく、ほぼ遺言書通りに実行できます。
後手に回ってしまったために、法定相続人の確定、遺産分割協議書の作成とすべての相続人の署名と実印による押印が必要になりました。
お子様がいない方に相続が発生、すなわちお亡くなりになられた時には兄弟やその家族が相続手続きを行うケースが多いと思います。
遺された遺産額によっては相続税の支払いが必要な場合もあります。
相続税の申告・納付期限は相続発生を知った時から10か月以内。
相続が発生したことを知っていて、手続きを怠っていた場合、後に相続税のほか過怠税などが課されることもあります。
お子様がいない方の相続について先日書いたコラムでも書いたとおり、このようなケースでは特に「遺言書」が有効です。
最近はお子様がいないご夫婦も増えています。
誰にも財産を遺すつもりはない、と思っていても全く財産がない方はいないでしょう。
自分に相続が発生することで親戚に思わぬ手間や迷惑をかけてしまうこともあります。
自分が死ぬときのことを考えるのは現実味がないかもしれません。
でも、人に迷惑をかけないように、できることをしておく。
何をどう考えるべきかは人ぞれぞれ。
心配のある方、是非ご相談ください。