小泉進次郎氏らが提唱した「こども保険」とは
先日、日経新聞にこんな記事が掲載されました。
三越伊勢丹、早期退職金を増額
記事には、これまで50歳以上に適用されていた退職金割増制度を48歳まで引き下げる、とあります。
さらに、ダイヤモンド誌ではこんな記事が掲載されました。
三越伊勢丹が猛烈リストラ、バブル入社組に破格の早期退職金も
まさに、バブル入社世代を狙い撃ちにした早期退職制度といえます。
もともと三越伊勢丹では次のステップを目指す人への支援制度である「ネクストキャリア制度」として、早期退職制度があるそうですが、今回の対象年齢引き下げとその額は固定費削減に向けた本気の取り組みであろうと推測できます。
三越伊勢丹でも正社員の約半数が管理職となり、固定費の削減が急務ということですが、他の特に大手の企業でも同じようなことが今後起きないとも限りません。
私も含め、バブル経済の下で就職した人は「売り手市場」、すなわち就職を希望する人の数に対し、企業の募集のほうが多い状態でした。
私は大手建設会社に就職しましたが、他の当時の大手企業はどこも早い段階から翌年の卒業生を囲い込もうとしていました。
現在の有効求人倍率もバブル期を超えているというデータがあります。
求人倍率 バブル期超え 4月1.48倍、43年ぶり水準
しかし、当時と現在とは就職環境には大きな違いがあります。
私は慶應義塾大学を卒業し、体育会の出身者ということが就職の際の武器になったという自覚があります。
部の後輩の就職状況などを聞く機会がありますが、当時と比べ、就職活動開始の出だしが早く、また、エントリーシートや面接などでの採用者の絞り込みも厳しく、就職しようとする新卒者の就職環境は当時とは大きく異なります。
体育会出身であったとしてもかなり厳しいい就職活動を行っています。
その差について明確なデータが入手できていませんが、当時の大手企業の採用人数はものすごく多かったと思います。
金融機関やメーカーなどの採用人数は現在の2倍近かったのではないでしょうか。
その後、就職氷河期が訪れますが、採用枠が一気に半減どころか1/3、1/4に。もっと顕著なところでは1/10や、採用見合わせといった会社もあったと思います。
それだけの差があった結果として、大手企業の企業内年齢分布はいびつなものになりました。
現在バリバリ働くはずの30代後半から40代前半くらいの年齢層が少なくなっており、その層を中途採用を行うなどして補完しています。
これからどうなる
今回、三越伊勢丹が行う早期退職制度は今後多くの企業でも似たような仕組みが採用されるのではないかと懸念しています。
企業内で充分に実力を発揮し、重用されている人にとっては、他企業への転職や独立などにより更なるキャリアアップも可能かもしれません。
一方で、多くのこれまで転職など考えたこともない人にとっては転職・独立は大きなハードルがあるでしょう。
大企業ほど分業が進み、最初から最後まで通して一つの仕事を成し遂げることが少ないと思います。
大企業だからこそできるスケールの大きな仕事についてきた人は、企業の看板が外れた途端にできることが急に少なくなってしまうかもしれません。
次のキャリアを見据え、自分自身で粛々と準備を重ねてきた人にとってはこのような制度はチャンスになるでしょう。
一方で、会社にしがみつかなければならない場合、今後の見通しはあまり明るくありません。
会社から見れば、人員の新陳代謝も必要ですし、今後定年延長や再雇用などの際には支給する給与を低く抑えなければならなくなります。
支給額総額を抑えるためには、人員を減らすか、個々の給与を抑えるしかありません。
特に人数の多い世代には影響が大きくなります。
個々人が、自分のこれからのライフプランや収入予測、キャリアメイクについて考え、会社に依存しない生き方を模索する必要があります。
日本人の平均年齢は今もまだ伸び続けています。
今50歳前後の人は90歳くらいまでは生きる想定をしておく必要があります。
会社は守ってくれないでしょう。
社会保障もいろいろなひずみを抱えています。
置かれている環境は人により違います。
周りの人が何もしていないから自分も何もしない。
先輩たちが何とかなってきたのだから自分も大丈夫だろう。
これまで何とかなってきたからこれからもきっと大丈夫だろう。
などと考えていると、気が付いたときには手の打ちようがないほど資産が枯渇、手遅れになるという恐れもあります。
現在50歳前後の人達は「今が人生の折り返し点」くらいの意識でこれから半分の人生をどう生きるのか真剣に考えておく必要があると思います。
今後の経済環境の変化にもよりますが、最悪の場合多くに人に「貧困」のリスクがある。
今後の資産形成・資産運用について早めに考えておく必要があるのではないでしょうか。