家督相続の残響
前回、「相続発生から相続税申告までのスケジュール」として、相続発生後のスケジュールをご説明しました。
結構やることが多いということをご理解いただけたのではないでしょうか。
人にもよりますがこれを10ヶ月で完了するのは準備がなければ結構大変です。
今回は少し趣向を変えて「もめるケース」について考えてみたいと思います。
相続でもめるケースとは
多くの方が「相続財産の配分でもめる」ということは想像できると思います。
しかし、自分のところは大丈夫と思っていらっしゃることが多いのも事実。
本当に大丈夫ですか?
よく起こる「もめやすいケース」を確認しておきたいと思います。
・親族間の仲が悪い
・子供がいない
・法定相続分とは違う配分で相続したい
・法定相続人以外にも遺産を渡したい
・認知した子がいる、内縁の妻がいる
・遺言書がない
・相続財産のほとんどが不動産
などなど、様々なケースがあります。
また、もめるとは言えなくても「苦労するケース」まで含めるともっと広がります。
・資産リストがない
・相続人の数が多い
・相続人に遠方に住んでいる人がいる
・相続人に連絡の取れない人がいる
・相続人に認知症の人がいる
・相続人のうちの誰かが親の介護をしている
・相続人のうちの誰かが親から多額の支援を受けている
他にもさまざまなケースがあると思います。
しかも、その多くがだれにでもありそうなことばかり。
「うちは大丈夫」と思っていても思わぬ落とし穴がありそうに思いませんか?
これらの多くは相続が発生する前、できれば元気なうちに身の回りを整理し、方針を決め、家族と話し、できる対策を打っておくことで回避することができます。
相続対策を子から親に促すのは難しい
「相続対策を考えてほしい」と子供から親に頼むのはとても難しいことです。
お子様から親に「相続対策の検討を促す方法」について聞かれることもあります。
雑誌や本など第三者が書いている資料を示す事や、エンディングノートをプレゼントするなんて言う方法もありますが、それでもなかなか難しい。
相手がどう感じるかを気遣うとなかなか切り出しにくいものです。
親の性格、子の性格などにもよります。
場合によってはストレートに「相続のこと、考えてる?」と聞いたほうが早い場合もあるでしょう。
なかなか「こうすればいいですよ」という方法が見つからず、私自身もお客様にうまくアドバイスしにくい「悩み」でもあります。
大切なのは「心のこもった相続対策」
次の世代に円満に資産を継承していくことを自ら考えておくことはとても重要です。
相続を受ける方が「こうしてほしい」という話をするより、「相続するほう」が「どうしたいのか」を考えることが大切です。
遺される家族のことを想い、トラブルを回避できる「心のこもった相続対策」が必要だと思います。