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西山広高

お金と不動産の知識で自分らしく幸せな暮らしを提案するFP

西山広高(にしやまひろたか) / ファイナンシャルプランナー

西山ライフデザイン株式会社

コラム

不動産の相続登記が登記義務化に

2023年2月22日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:くらし




2024年4月1日から不動産を相続で取得した場合の登記が義務化されます。

これまで、不動産を相続で登記した場合の相続登記は義務ではありませんでした。
しかしこの結果、様々な弊害が起きていることが問題視されてきました。

きっかけは東日本大震災


津波などで大きな被害を受けた被災地では、多くの建物などが消失し、復興事業として今後の津波対策のための防潮堤の築造や、まちの再開発などが必要となった地域がありました。その際には不動産の所有者を特定し、土地の収用などが必要になりました。しかし、所有者が不明なため、土地の所有者との交渉が進められないケースが多発しました。
(所有者不明土地は「登記簿により所有者が直ちに判明しない土地」「所有者が判明してもその所在が不明で連絡がつかない土地」を指します)

その後の調査で、50年以上も所有権の移転登記が行われていない土地が日本国土の約10分の1近く、九州の面積に匹敵する面積が存在することが明らかになりました。

不動産の登記とは


不動産の登記は、大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割があります。

登記簿には所有者の情報として、名前、住所、取得した日、取得原因(売買、相続など)、共有の場合にはその持分割合などが記載されています。

都心部では、売買によって取得した場合、そこに建物を建てたりすることが多く、また、住宅ローンを借りる際には土地に抵当権を設定したりするため、ほとんどの場合、引き渡しと同時に所有権移転登記を行います。第三者に対し、正当な所有権じゃであることを主張する根拠になります。

しかし、代々所有し続けている土地や、相続で取得した場合、すぐに所有権移転登記をしなくても大きな問題にはなりません。「落ち着いたら登記すればいい」と思っていた方も少なくないでしょう。

登記されずにいた不動産を売却するときには現在の正当な所有者を明らかにする必要が発生します。東日本大震災の時のように他人に迷惑をかけてしまうこともあります。所有者が不明なため、かかるべき固定資産税を支払うべき人がわからないケースもあります。

長年放置するとトラブルのもとに


また、長年登記しないままでいた土地の所有者が亡くなり、次の相続が発生した場合、その所有権の正当な相続人がだれなのかで争いになる場合があります。

弊社でも、登記魅了が原因でトラブルになった事例を扱ったことがあります。

相続登記は相続人が自分自身で行うことも可能


不動産の相続登記は売買と異なり、書類さえしっかりそろえば自分でも行うことができます。

相続登記はその不動産が所在する法務局で行いますが、売買と異なり相手方がいないため、仮に書類に不備があったとしても、改めて書類をそろえ申請することもできます。
(司法書士に依頼する場合、現在の司法書士はオンラインによる電子申請ができるため、全国の土地の登記に対応できます)

法改正の内容


今回の法改正で相続登記については、自身が相続人であることを知った時から3年以内に行わなければならなくなります。正当な自由がないまま登記申請を行わなかった場合、10万円以下の過料が課されることがあります。

正当な自由の例としては

  • 相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合
  • 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われている場合
  • 申請義務を負う相続人自身に重病等の事情がある場合


などがあります。

今回の法改正では、所有者の氏名の変更(婚姻などで名前が変わった方)や住所が変わった方にも罰則規定が設けられました。
(2026年4月28日までに義務化、2年以下に行わなかった場合5万円以下の過料)

法改正前の相続にも遡及適用


今回の法改正は法律施行後に発生する相続だけではなく、過去に発生した相続にも遡って適用されることとされています。

私がこれまで携わってきた事案でもいくつか、相続人登記が行われていなかったものがありました。特に地方でそのような不動産が多いようです。

相続登記を行わないまま、次の相続が発生すると遺された相続人が多大な手間や費用をかけて登記を行う必要が発生する恐れがあります。

現時点で相続未了の土地がある方、住所や名前が変わった後、変更登記をされていない方、あるいはその予定相続人となる方はぜひともすぐに登記簿をご確認いただき、登記手続きを行うようにおすすめします。

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