相続の基本(9)遺言を書けばいいというものではありません
先日「おひとり様、ひとりっ子、子供のいない夫婦の相続」というテーマで、セミナーを開催しました。
ご出席いただいた方からは「参考になった」「わかりやすかった」というお声をいただきました。
特にセミナーのテーマにあるような方に相続が発生した場合、何が問題になるのかは何も起こらないうちはあまり気にならないところかと思います。
相続が「争族」になるリスクについて弊社のホームページや私のコラムなどをお読みいただいている方にはご理解いただけていると思います。
特に若いうち、元気なうちは「自分が死んだときのことを考えるなんて縁起でもない」と考える方も少なくありません。
しかし相続対策には思った以上にパワーが必要です。そして、形あるものはいつか壊れるのと同じように、人には必ず死が訪れます。そして、その時がいつ訪れるかは誰にもわかりません。
それこそ縁起でもない話かもしれませんが、今日、帰り道に交通事故で命を落とすということもあり得ないとは言い切れません。
相続対策の第一歩は「資産の把握をすること」です。自分自身が持つ資産の棚卸をする意味でも現預金、有価証券、不動産などを中心にどこにどのような資産があるかを確認しリスト化します。
「遺言書を書く」というのは相続対策のほんの一部ですが、手段として有効です。
ただし、遺言書だけではカバーできない部分もありますし、遺言書を書くのことも決して簡単なことではありません。
最初に資産リストを作っておかないと遺言書を書くこともできません。
以前、「遺言書を書いたほうがいい」と本で読み、いざ書こうと思ったら表題の「遺言書」と書いただけで筆が止まってしまったという方がいらっしゃいました。
相続対策で最も難しいといわれるのが不動産の扱いです。分割が困難、売却に時間がかかるなどといった要因に加え、扱いによって相続税額に大きな影響を与えることもあります。
主な相続財産は自宅の土地建物くらい、という家庭では問題になるケースが少なくありません。そのほかにもさまざまなケースがあり、相続の問題は発生する相続の数だけあるといっても過言ではありません。
では、そんな相続についてはいったい誰に相談すればよいのでしょうか。
税理士?弁護士?不動産業者?
税理士は税金の専門家です。相続税がかかることがわかっていて、相続が発生した時は相続税の申告書の作成・申告について受けてくれます。ところが、相続対策では資産税に関する知識が必要なのですが、これに詳しいい税理士は少数です。
昨年から相続税の基礎控除額が6割に減額されたことはご存知の方も多いでしょう。
相続税が課税される人は基礎控除減額前に比べ倍近くに増えました。(4.4%→8.0%)
多くの税理士が法人や個人事業主の税務申告を主な業務として行っていますが、相続税や贈与税などの資産税に関することというと明るくない方がほとんどです。
では、弁護士はどうでしょうか。
弁護士はむしろ「争族」になってからが出番です。相続発生後には出番があることもありますが、事前対策で弁護士に依頼するのは「間違いなくもめる」というときです。
不動産業者には相続の相談を受けるところもあります。しかし、普通の不動産業者は報酬を売買や賃貸の仲介手数料で受領するので、多くの不動産業者が「売却」を提案したり、「相続税対策に不動産投資をしましょう」と物件の購入を進めるはずです。
相続の相談のはじめの一歩、すなわち、
・うちには相続税はかかるのか
・どんなことでもめそうか
・どんな対策をすべきなのか
といった相談をする専門の会社や人は少ないのです。
弊社ではその相続相談の第一歩からご相談いただきたいと考えています。
ご自身の相続や、ご両親の相続について関心がない方は少なくないでしょう。
ところが、相続対策は相続が起きてからできることは限られています。
相続税の仕組みやどんな対策があり得るのかを知っているだけでもメリットはあると思います。
セミナーはいずれまた開催したいと思います。
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先日よりコラム欄を使って「相続の基本」をシリーズでお伝えしています。
こちらも参考になれば幸いです。