【CFP監修】<2024年11月>金相場・株式市場・ドル円ウィークリーコメント

水野崇

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テーマ:金相場価格

ファイナンシャルプランナーの水野崇(CFP認定者/1級FP技能士)が、金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。また毎週末は、NYダウ・ドル円(USD/JPY)を含めた金相場価格のウィークリーコメントを提供しています。


2024年11月、全4週のウィークリーコメントをまとめました。

金相場価格・2024年11月のウィークリーコメント

■11/25〜11/29

2024年11月25日〜11月29日週のNY金相場は、2681.0ドル(前週終値比:1.2%下落)で週間の取引を終了しました。11月以降のドル建て金価格は、6営業日続落後の5営業日続伸によって前週までに下落の半値戻しを達成。25日(月)にイスラエルとレバノン武装組織ヒズボラが停戦に合意する見通しであることが伝えられると、これを機に金相場は利食い売りが先行して直近4営業日分の上昇を打ち消す大幅な値下がりとなりました。26日(火)にバイデン米大統領からイスラエルとヒズボラの停戦合意発表がありましたが、イスラエルのネタニヤフ首相はヒズボラが停戦合意を破った際の再攻撃について警告するなど60日間の期限付き停戦であり、情勢の不透明感はぬぐえない状況です。トランプ次期米大統領は25日(月)、2025年1月20日(月)の大統領就任初日にメキシコとカナダすべての輸入品に関税25%を課すと発表しました。これを受けてマーケットでは次期政権の関税政策への警戒感が台頭、安全資産への資金シフトの動きが見られ、11月26日(火)以降の金相場は上昇に転じています。ドル建て金価格をテクニカルで見ると、7月から継続していた上昇トレンドは10月31日(木)に過去最高値を更新したのを最後に、11月5日(火)の米大統領選後の大幅下落によって短期的には上昇トレンドが終焉。14日(木)に安値をつけた後は戻り高値を試しながらも、25日(月)の大幅下落で二番天井を形成しています。FRBの利下げ期待や安全資産買いで金相場は底堅い推移が続きますが、年間では歴史的な大幅上昇を記録しており、年末にかけては利益確定の売りに押されるシナリオも想定されます。国内金価格は10月31日(木)に15,025円の過去最高値をつけ年初来上昇率は45.0%に達しました。国内金価格はドル建て金価格とドル円から算出されますが、12月の米FOMCと日銀金融政策決定会合後には日米の金利差が一段と縮小する見通しであり、ドル円が円高方向に推移している間の国内金価格に関しては上値の重い展開が見込まれます。

■11/18〜11/22

2024年11月18日〜11月22日週のNY金相場は、2712.2ドル(前週終値比:5.5%上昇)で週間の取引を終了しました。ドル建て金価格は前週までの下落基調とは一転し、18日(月)から5営業日連続で上昇となりました。背景には、18日(月)に米国、イギリス、フランスなどがウクライナに対して、長距離ミサイルによるロシア攻撃を許可したとの報道が伝えられたことで、地政学リスクの高まりが意識され安全資産としての金の実需買いが挙げられます。2022年2月24日にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから、11月19日(火)で1000日を経過しました。19日(火)にはウクライナがロシア西部の軍事施設を狙い米国製の長距離ミサイル「ATACMS」で攻撃し、20日(水)にはイギリス製の長距離ミサイル「ストームシャドー」でもロシア領内を攻撃したことが伝えられました。これを受けて、ロシアのラブロフ外相は「適切な形で対応する」と警告、プーチン大統領は核兵器の使用基準を緩和する大統領令に署名。ロシアの報復攻撃の可能性が一層高まる中で、21日(木)にロシア側からウクライナ東部へ迎撃不可能とされる新型の極超音速ミサイルで反撃。ロシアとウクライナのミサイル打ち合いに発展し、ウクライナ情勢を巡る緊迫感が一段と増しています。金相場は押し目買いに支えられる地合いですが、米国では12月17日(火)〜18日(水)に年内最後のFOMCが開催され、利下げの有無に市場の関心が集まっています。FRBの0.25%追加利下げが予想されているものの、米金融当局者から「利下げを急がない」といった発言も相次いでおり、米利下げは金相場の支援要因であることから会合の行方が注目されます。国内でも12月18日(水)〜19日(木)に日銀金融政策決定会合が開催され、0.25%の追加利上げ観測が高まっています。国内金価格は11月18日(月)に14,000円を割れる場面がありましたが、ドル建て金価格はリバウンド相場に転じて底堅く推移しており、14,000円台中盤の水準に回復しています。

■11/11〜11/15

2024年11月11日〜11月15日週のNY金相場は、2570.1ドル(前週終値比4.6%下落)で週間の取引を終了し、2週連続の値下がりとなりました。ドル建て金価格は15日(金)まで6営業日続落しています。テクニカルでは、日足チャートの5日線、20日線、40日線が総じて下向きに転じ、10月10日(木)の安値を下回ったことでこれまでの上昇トレンド終焉を示唆。「トランプトレード」によるドル買いが進み、米ドルと金は逆相関関係にあることから、金相場は利益確定の売りが優勢で下落ペースを早めています。トランプ次期政権が推し進める経済政策では、インフレ圧力が高まる可能性が指摘されています。金融マーケットは変化を先取りして動きますので、金以外の投資対象に妙味が増すリスクオン相場下では金は相対的に売られやすく、今後も下落局面が続くことが予想されます。足元では、暗号資産(仮想通貨)市場でビットコインの上昇が加速しており、史上初の9万ドルを突破するなど過去最高値を更新しました。グローバルマネーの流れの変化を示していますが、現状のビットコインと金とは逆相関関係にあり、金相場にとってはネガティブ材料です。外国為替市場ではドル買いが続き、15日(金)にはドル円が2024年7月以来となる一時156円70銭台にまで円安ドル高が進行。その後は一転して3円近く円買いが進み、153円後半へと円高が加速しました。12月に開催される次回の日銀金融政策決定会合で、日銀は0.25%追加利上げに踏み切るといった観測が高まっており、新たに円買い要因が浮上していることが背景に挙げられます。国内金価格は米大統領選前から続く円安進行が価格の下支え要因でしたが、円安ドル高が落ち着けばドル建て金価格の下落を受けて上昇余力は限定され、上値の重い展開が見込まれます。為替の動向に左右されやすい相場地合いですので、ドル円の今後の推移は国内金価格にも影響を与えることになるでしょう。日銀の金融政策にも注目が集まっています。

■11/4〜11/8

2024年11月4日〜11月8日週のNY金相場は、2694.8ドル(前週終値比2.0%下落)で週間の取引を終了しました。ドル建て金価格は10月30日(水)に過去最高値2800.8ドルを記録しましたが、翌日の10月31日(木)には大幅下落に転じ、以降は上値の重い展開が続いています。世界中の関心を集めた2024年最注目イベントの米大統領選は11月5日(火)に投開票を迎え、投票前は民主党のハリス氏がやや優勢と伝えられるなど大接戦の様相でした。しかし、開票が始まると共和党のトランプ氏が終始リードし、6日(木)の東京時間・朝方には「トランプトレード」によって株高と円安が大きく進行しました。6日(水)の日経平均株価は大幅高で前日比では一時1,100円超の値上がり。外国為替市場ではドルが買われ、ドル円は151円台前半から154円台後半の水準にまで円安ドル高が加速。トランプ氏は6日(木)の演説で「歴史的な勝利だ」と述べ勝利宣言を行いましたが、これを受けてドル建て金価格は利益確定とリスク資産への資金シフトで売り優勢となり、節目の2,700ドルを下方ブレイクして40MA近辺まで大きく値を下げました。2016年11月のトランプ氏勝利時の「トランプラリー」を連想させる値動きが随所に見られましたが、トランプ次期政権のもとで規制緩和、大幅減税、追加関税が実行されることで、インフレ率の上振れリスクが懸念されFRBの利下げペースは鈍化する見通しです。11月6日(水)〜7日(木)に開催された米FOMCでは、市場の予想通りFRBが0.25%の追加利下げを決定。大統領選やFOMCといった一連の重要イベントを通過したことでマーケットには買い安心感が広がり、米株式市場ではNYダウ平均株価、S&P500指数、ナスダック指数の3指数が揃って大幅高で過去最高値を更新しました。国内金価格にとっては日米金利差縮小に伴う円高進行がマイナス要因ですが、トランプ次期米大統領は強硬な対中姿勢を示していることから安全資産として金の重要性が高まる局面が想定され、強弱材料が交錯しています。


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