聞き手の心に言葉を染み込ませるーー説得力を生む「腹式呼吸」の正体
【はじめに:丁寧のつもりが、実は「慇懃無礼」?】
「スケジュールを見させていただき、検討させていただき、後日ご連絡させていただきます」。
政治家の会見や自治体のアナウンスはじめ、最近、各所でこんな言葉を耳にしませんか?
「ここまで丁寧にしていたら文句はないだろう」という自己防御なのか、やたらと多用されている「~させていただく」。
私は、これが気になって仕方ありません。
多用されると、私は、ちょっとイラッとしてしまいます。
まるでこの絵の「Before」のように、言葉が自分を守るための重苦しい「鎧」になっているように感じるからです。
・「これだけ丁寧にしていればいいだろう」と、自分を防御している。
・「このレベルまでへりくだっておけば文句は言わないだろう」と、こちらが反論する口を封じ、無意識のうちに相手を自分にとって都合のいい立場に置いている。
はい、これが「慇懃無礼」の正体なんですね。
実はこれ、「慇懃無礼」であると同時に、聞き手にとっては、内容が入ってこない、まどろっこしい話し方でもあります。
【実践:言葉の「ダイエット」でスピードを上げる】
伝えたい情熱があるなら、言葉はシンプルが一番
先ほどのセリフを「ダイエット」してみましょう。
•Before:「スケジュールを見させていただき、検討させていただき、後日ご連絡させていただきます
•After:「スケジュールを拝見して検討の上、後日、ご連絡いたします
どうでしょう? これでも、なんら失礼ではありませんよね?
言葉の数はほぼ半分
それなのに、あなたの「誠実さ」と「スピード感」は倍増して伝わります。
【本質:「~させていただく」が全て悪ではない!~正しい使いどころ】
もちろん、「~させていただく」を一切使うなということではありません。
「~させていただく」も使いどころさえ間違えなければ、なんの問題もありません。
ただし、適切に使うには、以下の二つの条件が必要です。
「相手の許可が必要」で「その結果、自分に恩恵がある」とき。
例えば、あなたがクライアントと次回ミーティングの約束をしていたとします。
しかし、その後、同じ日時に、どうしても外せない重要な別案件が入ってしまいました。
その場合、以下のように「~させていただく」を使ってください。
•正しい例:「(こちらの都合で)日時を変更させていただけますか?」
これは、相手の許可を得る必要がある事柄であり、なおかつ、その結果、自分は別案件も処理できるという恩恵を受けます。
これこそ「~させていただく」の正しい使い方。
これなら「~させていただく」も報われるというものです。
【結びに:言葉の「鎧」を脱いで、まっすぐ届ける】
過剰な敬語は、自分を守るための「鎧(よろい)」のようなもの。
でも、パッションを伝えたい相手に対して、鎧は必要ありません。
「~します」「~いたします」。
そんな、清々しくて潔い言葉が、相手の心に、一番すんなりと、そして深く届くのです。



