聞き手の心に言葉を染み込ませるーー説得力を生む「腹式呼吸」の正体

森田都

森田都

テーマ:話し方のスキル

前回は、「明確な滑舌を作る『変顔』の極意」についてお話ししました。口の形(器)を整える
https://mbp-japan.com/tokyo/miyakomorita/column/5220754/
「心の殻」を破る準備はできましたか?




【はじめに:なぜ、あなたの話は「軽く」聞こえてしまうのか】


今回は、その器に乗せるエネルギー、つまり「呼吸」を整えましょう。
「プレゼンで説得力がないと言われる」「聞き返されることが多い」……その原因は、声の小ささではなく、声の「重み」にあるかもしれません。
言葉に重みを与え、聞き手の心にまでしっかり届けるためのエンジン、それが「腹式呼吸」です。

【プロの視点:大きな声より「深い声」が信頼を生む】


腹式呼吸と聞くと、部活動のような「大きな声」を出すためのものと思っていませんか?
私たちがビジネスや教育の現場で目指すべきは、がなり立てる声ではなく、安定感のある「深い声」です。

胸だけで浅く吸う呼吸は、喉に負担をかけ、声も上ずって聞こえます。一方、お腹を意識した深い呼吸から生まれる声は、それだけで「この人の話は聞く価値がある」と思わせる落ち着きと信頼感を醸し出します。

【実践:実は、誰もが「腹式呼吸の達人」でした】


「お腹で呼吸するなんて難しそう」と構えてしまう必要はありません。実は、私たちは仰向けに寝ている時、誰でも自然に腹式呼吸を行っています。

もし感覚が掴みづらければ、一度ゴロンと仰向けに寝転んでみてください。そのままリラックスして呼吸をすると、胸ではなくお腹が上下に動くのがわかるはずです。それが、私たちが本来持っている「一番楽で、一番深い」呼吸。
その感覚を「あ、これだ!」と体感することから始めてみましょう。

【トレーニング:吸うことより「吐く」ことに集中する】


感覚が掴めたら、次は起き上がって練習です。コツは、吸うことよりも「吐く」ことに集中すること。

1.ストローで吹くように息を吐く
口をすぼめて、お腹がぺちゃんこになるまで肺の中の空気をすべて吐ききります。
2.自然に任せて鼻から吸う
吐ききると、体は自然に空気を求めます。その時、肩を上げずに、鼻から空気を吸ってください。空気がお腹の底へ流れ込むのを感じながら。
3.吸った空気を使って発声
その吸った空気を使って「あ~」でも「こんにちは」でも、何か発声してみてください。第一声の「響き」が劇的に変わるはずです。

【おわりに:呼吸を整えることは、覚悟を整えること】


大事な商談の前、教壇に立つ前、一呼吸おいてお腹に空気を送り込む。
その一動作が、あなたの言葉にプロの説得力を宿します。
「深い呼吸は、相手への敬意の表れ」。落ち着いた声で、聞き手の心に言葉を染み込ませていきましょう。

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森田都
専門家

森田都(アナウンサー)

美・言の葉サロン

元FM東京局アナとしての知識、美しく正確な日本語、落ち着いた快活な語り口が評判。「話し方・言葉遣い・態度」のトータルアドバイスで、好感を持たれる話し方の習得と、アンチエイジングにも効果的な手法を指導。

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