今後の医療機器管理・医療機器保守点検・医療機器安全管理について
多くの病院ではこの様な事が起こると診療の仕事が止まってしまい大変困ったことになったというお困りごとを抱えておらえる病院は少なくないのではないでしょうか?
特に臨床工学技士さんが不在だったり不足していると、医療機器の保守点検作業が片手間またはほぼ実施されていないケースもあり、そこを保健所の立ち入り検査で指摘されているケースもございます。
では、そもそも医療機器が突然動かなくなったしまう原因は何でしょうか?
今回はこのことについて考察していきたいと思います。
1,機器の故障:機器の初期不良・老朽化による故障等機器自体の不具合からくるものです。しかしこれらの中には日常的な適切な保守点検の実施によって防ぐことのできるものもあります。例えば内蔵バッテリーの管理です。バッテリーの交換時期を何年も超過しているのに全く交換されていない場合、輸液ポンプなどを使用中の患者さんがポンプごと移動した時、バッテリーでの稼働が出来なくて突然止まってしまったといったトラブルです。これは予防的な保守が実施されていれば防げた事です。
2,不適切使用:機器自体に不具合は無く、使い方の問題で起こるトラブルです。例えばナースステーションで使用していたセントラルモニタで突然波形が映らなくなった。この直前に何らかの理由でモニタの位置を動かし、この時にアンテナ線が壁についているコネクタから外れてしまい、このことに気づいていなかった。モニタは電波を受信できず波形が映らなくなった等です。
実はこの2のケースは事例の数がかなり多く、また同じような事例が何度も発生する傾向にあります。この不適切な使用により機器トラブルは、全機器トラブル数の9割ほどといわれているくらい多いのが現状です。
確かに機器の故障によるものは少ないとはいえゼロではありません。予防的保守を実施したからといって壊れるときは壊れるのが機械です。「点検したばっかりなのにもう壊れたんだけど」といったことも無くはありません。そのためメーカーが実施する保守契約の内容では、まだ使用可能な部品(モニタの心電図のコード等)を1・2年経ったので断線する前に交換しようといったものも含まれていて、コストを上げる原因にもなっています。心電図コードの様なセミディスポ品は確かに断線する可能性が有りますので、予備を2本ほど置いとく方がコスト抑制には繋がるのではないでしょうか。
以上により、医療機器の突然動かなくなるようなことを防ぐには、適切な保守点検を継続的に実施することと、適切な使用を継続することがトラブル防止(完全にゼロにはできませんが)に繋がる第1歩と考えます。