■シリーズ/狭小敷地の土地選びのコツ - 2
前回、⑦話では、「竜安寺/石庭」の「外の部屋」とも思える素晴らしい浸透感のある庭をご紹介しました。
写真は大徳寺の境内にある「大仙院」という禅寺の本堂です。大徳寺といえば広大な境内です。
決して敷地の余裕が無いから小さな庭を造ったと云う訳ではありません。
ところが大仙院の本堂の広さに似つかわしくない小さな枯山水の坪庭があります・・・
鍵型に六畳二間分くらいでしょうか。塀を巡らした小庭に山水画を立体化した感があります。この庭もまさに「外の部屋」の趣です。
達観ですね・・・深山の湧水が渓谷を通り、大海に注ぐまでの深山幽谷の大自然を六畳分の庭に閉じこめてしまうんですから。
・・・この大自然を前にした「縁側」に座し、心を開き自身を問う、禅の世界への厳粛な気持ちに誘われます。
建立当時としては素晴らしく斬新な発想であったと思います。日本建築に内外への浸透性があるためにこのような発想があったのだとも思います。
やがて書院建築から近代の住宅建築へと「外の部屋」を造るがごとく「内」「外」を浸透する見るための庭として「住宅と庭」の関係は近代建築へ引き継がれてきたのです。
そして何時もそこには「塀」という外の部屋を囲う為のパーツが不可欠な存在であったわけです。
特殊な設定として「借景」という手法も生まれました。遠望する景色を目の止まりとして、塀のない囲いとしての表現です。何れも「内」「外」を浸透するその先の空間の閉塞感を演出しています。