■シリーズ/狭小敷地の土地選びのコツ - 2
「塀の家」と「フェンスの家」の写真です。どちらもかなりの豪邸です。
フェンスの家はアメリカの住宅です。広い敷地を自慢するがごとく道路から見透すことが出来ます。
一方、塀で敷地を囲まれた家は、日本の高級住宅街・・「中はどうなっているんだろう」・・思わず覗きたくなります。塀の風抜き穴から中の庭が覗けたりすると・・何か人の秘密を見てしまったような・・罪悪感さえ覚えます。
この違いは何なんでしょう?民族的生活文化の違いなのでしょうか・・・
私的所有の概念が明確な欧米でさえ、敷地の境界を示すフェンスは住宅の装飾的な意味合いしか持たないのに、日本では何故このような塀が生まれたのだろうか。
これにはいくつかの理由が考えられます。欧米では個人と社会が対峙しており、家のドアを一歩出るとそこは「社会」「街」なのです。「家」と云うより「部屋」が個人としての最小単位なのかもしれません。壁で囲まれた家の構造そのものが社会と個人を隔離していると思います。
日本の場合は、敷地を含めた「家」エリアが社会に対する単位だと思います。
ホテルと旅館の違いもそんなところでしょう。ホテルでは個室の鍵を掛け、一歩外へ出るとそこはパブリックであり、街の街路と同じ感覚です。日本旅館のように浴衣一枚でフラフラ歩くのは異常者となります。
個人を前提とした「社会」。家を前提とした「世間」。この似て非なる文化の構造は、そのまま「フェンス」と「塀」の違いに現れているのではないでしょうか。