特性のある子どもたちが行事に参加できるコツ(2)粘土など興味を引くアイテムを活用するときの注意点

ここまで、特性のあるこどもたちが入園式などの行事に安心して参加できるようにするためのサポートについてお伝えしてきました。
特性のある子どもたちが行事に参加できるコツ(1)
特性のある子どもたちが行事に参加できるコツ(2)
今回は、知的発達がゆっくりで、まだ式の意味が分からず好きなところへ動いて行ってしまう子のサポートについて考えてみたいと思います。
1.式の意味が分からず動いてしまう子の支援
こうした子どもたちの場合は、まだ式の意味は分からなくても、無理のない範囲内で参加感覚を持ち成功体験をつくることが大切です。無理に座らせようとせずに、少しでも式に触れる場面を逃さないようにしましょう。
「式の前→式の最中→式の後」に分けると、次のような支援方法が考えられます。
■式の前
わかりやすい視覚サポート
→ 式次第の絵カードやタイムラインを使って「流れ」を予告
移動範囲を決めておく
→ 動きたくなる子は「ここからここまではOK」と事前に空間を設定
付き添いの大人(先生や保護者さん)を決めておく
→ ひとりで対応せず、大人がペアでサポートできる体制にする
■式の最中
「参加できる場面」を逃さずにしっかり参加
→ 歌や拍手の場面で声かけして一緒にやる。座っている時間は短くてOK。
離席しそうになったら、優しくブロック+代替案提示
→ 「こっちで先生と一緒に見ようね」と声かけして、無理なく場に戻す
最小限でOKと割り切る
→ ずっと座るより「場にいられた」「先生と一緒に式に触れられた」を大切に
動きたい気持ちに寄り添う支援
→ 「次のお楽しみは歌だよ」「もうすぐおしまいだよ」と予告をこまめに
■式の後
成功した場面をしっかり褒める
→ 「お歌のとき一緒にできたね」「先生と座っていられたね」など
「参加できた実感」を言葉で伝える
→ 「○○ちゃんも式にいてくれてうれしかったよ!」
そして、できる限りの環境調整を行いましょう。
お子さまや付き添いの大人が出入りしやすく全体から目立たない場所に席を用意したり、必要に応じて視覚刺激や音の刺激を減らす環境が用意することも有効です。
2.保護者さまの気持ちを大切にしましょう
先生たちに最も大切にしていただきたいのが、保護者さまの気持ちです。
全体行事の場面では、みんなと同じように入園式を迎えさせたいという願いがある一方で、しっかり集団行動ができる子とわが子を比べてしまうこともあるでしょう。
個別のサポートが必要なことに対して、迷惑をかけているのではないかという申し訳なさを感じてしまう保護者さまも多くいらっしゃいます。
だからこそ、当日園はどのようなサポート体制を整えようとしているか、そして保護者さまにはどのような場面でご協力いただきたいかを事前にしっかり話し合い、保護者さまと合意形成をしておくことが大切です。
また、
・襟付きのお洋服が着られていたらOK
・お名前を呼ばれたときに、手を挙げられたらOK
・1秒でもお席に座れたらOK
・みんなと一緒に写真撮影ができたらOK
など、その子にとって何を入園式の目標にするかを決めておき、一つでも出来たらみんなで喜びを分かち合えるような雰囲気をつくっておけると良いですね。
「安全」に配慮しながら「参加の経験」も積めるように、保護者さまと一緒に力を合わせ、お子さまにとっての「がんばれたね」を一緒につくっていくことが、今後の成長につながる第一歩になりますよ!



