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大谷石の石塀修復施工事例

小林正昭

小林正昭

テーマ:大谷石

風化の激しい石塀を修復する場合

大谷石は軽く加工がしやすい石材で、水にも強いため屋外でも昔から使われてきました。価格帯も手頃なので石塀の材料としても人気です。

先ほど加工がしやすいという話をしましたが、大谷石は石の中で柔らかい部類に入ります。そのため、他の石に比べて、雨風によって風化や腐食が起こりやすい傾向にあります。最近では表面を強化するコート剤なども開発され、風化を抑えられるようになってきましたが、対策を取っていない石塀などでは、長年ほったらかしで激しく風化してしまった例もあります。

激しく風化してしまった石塀の修復では、その表面の一部を削り、風化部分を取り除いた後、高圧洗浄し表面の汚れを取りました。

削ったサイズに合わせて大谷石の板石や御影石を加工し、接着剤を使ってその表面に貼り付けるという手段を取った事例もあります。

汚れが付いてしまった石塀を修復する場合

風化はそれほどしていないけれど、大谷石が黒ずんできてしまったなどの汚れが目立つようになってきた場合の修復の事例も紹介します。

まず、風化部分が気になるようであれば、表面を少しだけ削って整えます。汚れが奥のほうまで染み込んでしまっている場合などは、少し深く削ることもあります。その後、高圧洗浄機で汚れを取ります。見づらいヒビなどが入っていると、高圧洗浄によってヒビが大きくなってしまう場合もあるので、注意が必要です。洗浄後はえぐれた表面をモルタル等の補修材を充填し、硬化するコートを塗布しさらなる風化を防ぐようにしています。

大谷石の石塀といっても、表面を研磨してあるものや荒削りにしてあるもの、凹凸をもたせたものなどさまざまです。形状は違っていても、汚れを落としコートを塗るという流れで作業をしています。

倒壊を予防する補強工事

大きな地震などで、石塀が倒壊してしまうこともあります。実際に東日本大震災でも石塀が倒壊し、大変な被害をもたらしました。石塀が倒壊すると、近くにいる人を下敷きにしてしまう可能性も否定できません。地震大国である日本だからこそ、倒壊を予防しておく必要があるのです。

どれくらいの補強をしたいのかという要望にもよりますが、目地の補強、塀の天頂部に鎹(かすがい)を打ち込むといった軽いものから、鉄帯を打ち込んだり、鉄柱を埋め込んだりする大掛かりなものまで、さまざまな方法を取ることができます。

修理ももちろん大切ですが、いざというときの安全のためにもしっかり補強にも力を入れるようにしてくださいね。

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小林正昭
専門家

小林正昭(一級建築士)

株式会社ジャストン東京

石材に関わるあらゆる工事を担当。リフォームやインテリア、修理や洗浄、家具の制作など、幅広い依頼に対し、予算や希望に応じてきめ細かな提案を行う。墓地や霊園、供養の情報にも詳しく、相談を受け付けている。

小林正昭プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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