受験英語における構文学習の必要性

井川治久

井川治久

テーマ:受験英語

(今回は、井川先生へのインタビューに基づいて、構成された大学受験英語コラムです。)

受験勉強で英語構文は本当に必要なのかと疑問に思うこともあるでしょう。しかし、入試で出題されるような複雑で長い英文ともなると、英単語や英文法を知っているだけでは太刀打ちできません。

英語構文の知識を身に付けることで、どんな長文も組み立て方が見えてきます。構文は和訳や英作文でも基礎的な力となるものです。

構文とは

英語の授業で構文について学習した時に、専門用語の多さに驚くことはありませんか。用語の意味が分からないと、説明されている内容も理解できるはずもなく、苦手のままになってしまいます。

そもそも、英語構文の単元が設けられているのは文章の構造を知ることで理解の助けとするためです。どんなに長く装飾過多の文章であっても、その構造さえ見抜くことができれば読解できるのです。

難関大ほど長く複雑な構造の英文が出題されてきました。そのような文章は英文法の範ちゅうのSVOCだけでは太刀打ちできません。どの部分がどこの単語にかかっているかを見抜けなければ、全体の意味さえもおぼつかないでしょう。

文章の中で使われているそれぞれの役割を理解することが、構文を学ぶということなのです。文法が細かな英語のルールだとすると、構文はそのルールを応用させて文章の中で実際にどう使われるのかを表すものです。

つまり、構文は文の組み立て方です。文法を基本として文章の中で構成されるなかで、よく使われる決まったパターンというものがあります。これらを総称して英語構文と考えればよいでしょう。

構文学習の必要性

そもそも、受験英語で英語構文の勉強は必要なのでしょうか。直接問われることがないのだとしたら、その分の労力を英単語や文法に振り向けたくなるのもやまやまです。しかし、英語構文を習得することなくして、英語の偏差値を上げることは不可能です。

英語構文の知識があれば、長くて複雑な文章の構造も瞬時に理解でき読み解くことが可能となります。長文読解が決め手となる受験英語では英文解釈の力を求められます。英語構文をしっかりとマスターすることが、結局は受験で勝つ近道なのです。

英語構文が理解できれば、文章を見て大きな枠組みが浮かび上がってくるようになります。するとどうなるか。ひとつの英文の中に複数の文法が含まれていても、それぞれに分けて考えることができます。複雑に絡み合ったように見える文章も、それぞれに分割して考えればシンプルになります。こうなれば、あとは落ち着いて考えられますよね。

これは和訳問題の時に威力を発揮します。単語の意味だけ知っていても、文章の構造を理解できていなくては、正しい解答はできません。英作文でも同様です。求められる英文にはどのような文法を使えばよいのかという判断には、構文の理解が欠かせません。

構文の勉強方法

英語の構文を習得するにはおよそ年間50回の授業が目安とされています。これは英単語や英文法を当てはめて構文をつかむ練習が必要なためです。

実際に英語構文の学習はどのように進めていけばよいでしょうか。

まず基本的なことですが、英単語・英熟語・英文法の基礎固めが終わっていること。これらに自信が持てないレベルならば、基礎に立ち戻ってもれのないように復習します。

構文の学習の第一歩は、英文中の意味のカタマリを見付けられるようになることです。このカタマリは大きく分けて2つ、SVが含まれない「句」とSVが含まれる「節」が存在します。このカタマリ部分を見付けるには目印を見付けることがポイントとなります。それは、いくつかの文法事項を探すことです。

whichなどの関係詞、becauseなどの接続詞、前置詞、不定詞、分詞、動名詞などを文の中に発見できたならば、そこからがカタマリとなっていることが多くなっています。文章の中にこうしたワードが登場したならば、初歩のうちはアンダーラインを引いておきましょう。

And,or,butといった等位接続詞においては、その前と後ろでつりあうようなっています。つまり、等位接続詞の前後はそれぞれカタマリだということです。

次に、カタマリを見付けたら、それがどのような役割を果たしているかを解明します。カタマリには何かしらの役割が与えられているはずです。名詞句、形容詞句、副詞句、名詞節、形容詞節、副詞節の何に当てはまるのかを考えます。カッコでくくりどこにかかっているのかを矢印で書いておくのも、理解を手助けしてくれます。構文を学習している期間は、英文に向き合う際にはそのつど主語(S)・動詞(V)・目的語(O)・補語(C)などを見極める訓練をしていきましょう。

構文をマスターすれば整序問題にも役立つ

受験で必要とされる英語では、句や節や文全体を副詞が修飾しているなど、長文ともなると、修飾語が多用されがちです。そのため、長い文章の中でどのような修飾関係になっているか把握することが肝要なのです。

構文をマスターすれば整序問題にも役立ちますし、英作文の力にもなります。長文を読み進める場合にも、文法や構文を理解していないころよりスムーズになっているはずです。

英文の構造の理解が進んだならば、構文をパッとつかめるように訓練していく必要もあります。長文をスラスラと読むためには、いちいちこれはどれに当てはまるのだろうかと考えていては時間が足りなくなります。どの構文が、どのような場面で使われるのかを見た瞬間に浮かんでくるようにするため、パターン化して覚えていくと効率的です。

このように英語構文の基礎学習には手間と時間がかかります。英語の長文や英作文に欠かせない知識なのですから、長文に取りかかる前段階で学習を終わらせていなければなりません。他の教科との兼ね合いもありますが、スケジュールの中で逆算して取り組む時期を決めましょう。

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井川治久
専門家

井川治久(塾講師)

井川塾・受験英語学院

39年間の大学受験英語の合格指導実績により、受験英語の肝を知り尽くす。効果的な受験英語上達法で、生徒を志望校合格に導く。★最後までとことん面倒を見る姿勢は好評を博している。著書多数。早大OB、開成OB

井川治久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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