受験英語の単語学習はアウトプットしながら覚える

井川治久

井川治久

テーマ:受験英語

(この大学受験英語コラムは、井川治久先生へのインタビューに基づいて、構成されたものです。更新日:2022年3月20日)

難関大学受験のために覚えなくてはならない英単語の量は、膨大なものです。英単語の暗記は、受験英語学習の最初に乗り越えなければならないハードルですが、なかなか思うように記憶に残らないとお悩みの人はいませんか。

英単語は、やみくもに覚えようとするよりも、「要領」を押さえて効率的に学習することが、記憶への定着の近道となります。
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単語を覚える目的

時間と手間をかけて英語の学習に力を入れているのに成果が上がらないという人には、共通する特徴がいくつかあります。その一つは、「基本レベルの英単語」を、きちんと暗記していないという点です。

こういった人たちの中には、「正しくない主張」をする人がいて、「英語は単なる暗記科目ではないのだから、基本単語は、文章の前後の文脈から類推すればよいだろう」といったことを言います。しかし、現実には、「類推」など上手くできるわけがなく、英語の長文を読みこなすためには、やはり、英単語力、英熟語力、英文法力、英文読解力のいずれもが必要不可欠です。そして、これら全ての土台となっているのが、基本英単語の理解と暗記なのです。

長文問題の中で初見の単語に遭遇し、文脈から意味を考えなければならないことは、実際にあり得ます。しかし、それはあくまで基礎的な英単語が身についているという前提でのお話です。基本的な英単語さえも頭に入っていなければ、長文中のあらゆる単語の意味を類推することになり、そんなことが不可能であることは、一目瞭然ですよね。

英語で高得点をあげてライバルに勝つためには、英語長文で差をつけなければなりません。そのためには、まず、英単語と英文法の基礎的なレベルをクリアーすることが必須なのです。
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アウトプットと反復学習の重要性

英語は毎日継続することで力がつきます。少しずつでも構いませんから、毎日、英単語に触れましょう。ただし、覚えた気になって満足していてはいけません。インプットとアウトプット(入力と出力)をバランスよく取り入れて、本当に記憶できるまで反復することが大切です。さらには、「自分が何度やっても覚えられない苦手な単語」というものが出てくるでしょうから、それらを把握して反復することも、英単語の記憶の定着に大きく役立ちます。

では、具体的に暗記の流れを、見ていきましょう。
暗記のスタイルとしては、人それぞれに適したやり方があるので、自分に適したものを探してください。耳で聴く、目で見る、手で書いて覚える、口に出す、もしくは、それらを組み合わせるのがベストでしょう。

見て覚える方法は、単語帳を見ながら、スペリングをじっと見つめて、意味と一緒に、その「残像」を頭に残すようにします。書いて覚える方法は、ノートに英語のスペルを何度か書きなぐって、それに日本語の意味も書き添えていくというもので、ノートが溜まっていくごとに達成感が得られます。いちいちノートに書き取らなくても記憶できる人は、CD付きの単語帳で耳から聴いて、口に出して覚えましょう。スペリングは、ノートに書かなくても、手でなぞるだけの記憶方法もありますし、受験勉強に対する集中力が増せば、視覚だけでも記憶できるようになっていきます。
また、声に出して覚える訓練を積み重ねていくと、単語を実際に口に出さなくても、「頭の中で発音する」ことで記憶に残せるようにもなります。さらに、人によっては、身振り手振りを駆使し、感情豊かに表現しながら覚えるケースも見られます。

いずれにしても、早い時期に、自分が覚えやすいインプットのスタイル、そしてアウトプットのスタイルを見つけることが肝要です。

単語を覚える努力を積み重ねていくと、ある程度までは、それほど苦労することなく暗記できるようになるでしょう。その一方で、スペリングを見てもパッと意味が浮かばない単語が何割かは残ってしまいます。アウトプットがあいまいな単語をピックアップして、何度も繰り返し確認する必要があります。最終的には全ての英単語を瞬時にアウトプットできるようにすることがゴールです。

一度完璧に覚えたつもりでも、翌日に再度意味をアウトプットしようとすると出てこないことが往々にしてあります。人間は忘れる生き物なのです。実は、覚えたつもりでいるよりも、「後日確認した時に忘れていることに気づく方が、よっぽどまし」なのです。どうしてかというと、「忘れた単語を繰り返し覚えるという段階」を踏んだ方が、より確実に記憶に定着するからです。本物の英語力を身に付けたいのなら、反復学習あるのみですね。

覚えにくい単語をまとめ、移動時間や寝る前などのすき間時間を活用して何度も覚え直しましょう。ちょっとした空き時間では集中して暗記し直すのは難しいと思いがちですが、一度手を付けている単語なら、数も多くしなければ、「暗記に対する心理的なハードルが下がっている」はずですから、プレッシャーにならずに集中してチェックし直すことができるでしょう。
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単語学習の手順

受験勉強の序盤から、英単語の暗記を始めましょう。なぜなら、単語や熟語といった語彙の知識が不十分であれば、短い英文の理解さえ進まないからです。もちろん、長文も英作文も上手くいかないし、リスニングだっておぼつかない。ですから、まずは基礎固めの時期と割り切って、英単語習得に専念する時間を、しっかりと設けましょう。

高校基礎レベルの単語帳から始めるのがベターでしょうが、自分の習熟度に応じて必要とあらば、中学3年生レベルの単語・熟語も記載されている基礎的な教材を使ってください。学習が遅れている人は、あえて難易度が低めの単語から手を付けていくことで、英文の読解にも役立つことでしょう。

「基礎レベルの英単語」は、考えることなく瞬時に意味が理解できなければ、読解の足を引っ張る足かせとなります。ですから、早期に繰り返し何度も暗記に取り組むことで、記憶への確実な定着を目指します。もし可能なら、同時に単語集の例文を暗記することによって、英会話や英作文対策も兼ねて、「和訳」だけでなく「英訳」まで見通した学習ができれば万全ですね。すなわち、英語を見て日本語訳が出てくるようになったら、今度は、逆の手順で学習します。日本語を見て英語が瞬時に言えるまでトレーニングしましょう。

英単語を覚えていく際に気を付けたいことは、1つの単語だけに立ち止まって時間をかけすぎないことです。
1つの英単語が完璧に覚えられないからと言って次に進めないというのでは、いつまでたっても大した量にはなりません。英単語を見て意味が分からなければ、すぐに日本語訳を確認して頭に入れつつ、次の単語に取り掛かります。

最初のうちは、わからない単語の方が多いくらいでしょうが、気にすることなく、ある程度までは、どんどん先に進めましょう。何度も繰り返していくうちに、最初はわからなかったり忘れがちだったりする単語も、だんだんと覚えていくはずです。スピード重視で、繰り返すことに重点を置くことが「英単語攻略のカギ」となります。

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井川治久
専門家

井川治久(塾講師)

井川塾・受験英語学院

39年間の大学受験英語の合格指導実績により、受験英語の肝を知り尽くす。効果的な受験英語上達法で、生徒を志望校合格に導く。★最後までとことん面倒を見る姿勢は好評を博している。著書多数。早大OB、開成OB

井川治久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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