会社員の起業が失敗する本当の理由とは? 起業18フォーラム代表・新井一が語る「成功する起業」の真実
飲み会ゼロで起業に成功した人たちがいる
――新井さん、「起業するためには人脈が大事」とよく言われますが、人付き合いが苦手な方にとってはハードルが高く感じると思います。そういう方でも起業できるのでしょうか?
新井:よく言われますよね。でも現場を長く見てきた感想を正直に言うと、人付き合いが苦手な人ほど起業に向いているケースが多いですよ。IT系、芸術系、職人系。こうした分野で成功している起業家の多くは、実は内向的なタイプです。ひとりで深く考え、集中して仕事に打ち込める力は、起業においてむしろ武器になります。
――意外ですね。起業というと、積極的に人とつながっていくイメージがあります。
新井:そのイメージ、ちょっと古いかもしれないですよ(笑) 確かに高市さんは総裁選に落ちた時、「飲み会しないからだ」なんて言われていましたけど(笑)起業の現場では、飲み会で名刺を100枚配れる人だけが成功するわけではありません。「静かな営業術」を使う人も多いですね。
「ストック型」と「フロー型」、あなたはどちらを選ぶか
――「静かな営業術」とは具体的にどんな方法でしょうか?
新井:まずお伝えしたいのは、営業には大きく2種類あるということです。交流会に出る、テレアポをかける、飛び込み営業をする。これが「フロー型」。その場限りの行動で売上を作ろうとするやり方ですよ。人付き合いが苦手な方にとっては、苦痛以外の何ものでもないでしょう。
――たしかにそれは辛いですね……。
新井:一方の「ストック型」は、ブログ記事やメルマガのバックナンバーなど、一度作ったコンテンツが資産として積み上がっていく考え方です。記事を100本書けば、100本が24時間365日あなたの代わりに営業してくれます。家にこもって作業する時間が、そのまま将来の売上につながるのです。
――人付き合いが苦手な方に最適ですね。
新井:特にIT技術者には相性が抜群です。自分でメディアを構築できるのですから、外注費ゼロで集客の仕組みを作れる。「静かな営業術」の3本柱は、専門ブログで見込み客を集める、メルマガやLINE公式で関係を育てる、Zoomを使った1対1のオンライン相談で成約につなげる。この流れを作れば、交流会に一切参加しなくても、お客様のほうから見つけてくれる状態が生まれますよ。
50代元SEが、営業経験ゼロから年商800万円に到達するまで
――実際の事例を教えていただけますか?
新井:Bさんという方がいて、50代の元SEです。人付き合いはとても苦手で、営業経験はゼロからのスタート。でも在職中にnoteを立ち上げて、業務効率化のノウハウを書き続けました。半年でメルマガ登録者が300人に到達して、月1回のZoomセミナーを少人数制で丁寧に開催。独立後にコンサルティング契約を積み上げて、年商800万円を達成したのです。
――すごい。対面営業なしで達成したのですか?
新井:「対面営業は一切しない」と決めていたそうです。その代わり、noteを週2本、メルマガを週1通、欠かさず続けました。コツコツ積み上げるスタイルが、Bさんの性格にぴったりはまったのですよ。最初のZoomセミナーは参加者1人だったそうですが(笑)
それでも、避けてはいけない3つの場面がある
――すべての人付き合いを避けて大丈夫、というわけではないですよね?
新井:それはそうですね。独立すると、会社員時代よりも人とのつながりが重要になる場面が出てきます。3つ挙げると、税理士・弁護士・社労士といった専門家との面談、クレーム対応、そして同業者との情報交換です。これは苦手でも避けないでほしい。
――特にクレーム対応はメールだけでは難しそうですね。
新井:メールだけで済ませようとすると、かえってこじれることが多い。電話や対面で誠意を見せることで信頼回復につながります。同業者との情報交換も大切ですよ。業界の単価相場、新しい技術トレンド。ひとりでは拾いきれない情報が同業者とのつながりから入ってきますし、思いもよらない化学変化が生まれることもある。紹介で仕事が舞い込んだり、協業のアイデアが生まれたりします。
「役に立つかどうか」で人を選ぶと、孤立する
――「起業の役に立たないから」と友人の誘いを断るようになった、という方もいますが、これはどうでしょう?
新井:そういう方、相談の現場でも見てきました。気持ちはわかります。でも少し立ち止まって考えてほしい。損得勘定で人付き合いを切り分け始めると、周囲の人はそれを敏感に感じ取ります。「あの人は利用価値で人を見ている」と思われたら、本当に大切な場面で誰も手を差し伸べてくれなくなります。
――それは怖いですね……。
新井:もちろん、ネガティブな影響を与えてくる人との付き合いは減らして構いません。愚痴ばかりの集まり、足を引っ張る関係からは距離を置けばいい。でもビジネスと関係ないところで応援してくれる人の存在は、独立後の孤独な時期にあなたを支えてくれます。人付き合いが苦手でも、それとこれとは別の話ですよ。今のうちに大切にしておいてほしい人間関係があります。今日はありがとうございました!
――とても参考になりました。ありがとうございました!
新井:こちらこそ、ありがとうございました。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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