共有持分の売却に必要な書類は?売却の流れと注意点を解説!
2023年4月の民法改正により、共有物に関するルールが変更されました。
共有名義の不動産の扱いは、どのように変わるのか本記事では解説します。
共有物に関する2023年民法改正のポイント
今回の民法改正では、大きく4つのポイントで共有物に関する制度が変更になりました。
- 共有物の管理について
- 共有物の変更について
- 行方不明の共有者が居る場合の対応
- 共有物分割の裁判
共有物の管理について
これまで、共有物の管理行為をおこなうには、共有者の過半数の同意が必要とされていました。(旧民法252条)
しかし、共有者の中に行方不明者が居たり、明確に賛同の意思が確認できない共有者が居たりする場合、過半数の同意が得られず、共有物の管理行為ができない事態が発生していました。
今回の民法改正により、下記のような状況でも、裁判所に申し立てをおこない、所定の手続きを踏めば、共有物の管理行為ができるようになりました。
・行方不明の共有者がいる場合(新民法252条2項1号)
・明確な賛同の意思がない共有者がいる場合(新民法252条2項2号)
共有物の変更について
これまで、共有物の軽微な変更行為をおこなうにも、共有者の全員の同意が必要とされていました。(旧民法251条)
軽微な変更とは、形状(外観、構造等)や効用(機能や用途など)の著しい変更を伴わないものを指します。
しかし、共有者の中に行方不明者が居たり、明確に賛同の意思が確認できない共有者が居たりする場合、全員の同意が得られず、共有物の変更行為ができない事態が発生していました。
今回の民法改正により、変更行為の定義が細分化され、形状や効用の著しい変更を伴わないもの(軽微な変更)については、持分の過半数で実行できるようになりました。(新民法251条1項、252条1項)
そのため、共有者の中に行方不明者や明確な賛同意思を示さない人がいる場合も、下記のような軽微な変更行為であれば、過半数の同意で実施可能です。
・砂利道のアスファルト舗装
・外壁の塗装
行方不明の共有者が居る場合の対応
これまで、共有者の中に行方不明の人がいる場合、家庭裁判所にて不在者財産管理人を選任する必要がありました。
不在者財産管理人は、行方不明者のその他の財産もすべて管理する必要があり、その管理費用や手間などのコストが負担となる問題がありました。
今回の民法改正で、裁判所は共有者からの請求があれば、他の共有者に、行方不明者の持分を取得させる旨の裁判をすることができるようになりました。(新民法262条の2第1項)その際、取得する共有持分の対価となる供託金を法務局に納める必要があります。
また、行方不明者は、持分を取得した共有者に対して、取得した持分の時価相当額の支払いを請求する権利を有します。(新民法262条の2第4項)
共有物分割の裁判
共有物の分割には、3つの分割方法があります。
・現物分割:共有物の現物を分割し単独名義で所有する方法
・換価分割:共有物を競売にかけ、売却益を分割する方法
・代償分割:一人の共有者の単独所有とする代わりに、他の共有者へ代償金を払う方法
これまでも、共有物の分割について、共有者間で意見がまとまらない場合、裁判所に共有物分割請求をおこなうこと自体は可能でした。
しかし、分割の方法は現物分割または換価分割(競売)とされており、代償分割(賠償分割)が明確に含まれていませんでした。
今回の民法改正にて、賠償分割による分割が可能である旨、明文化されました。(新民法258条2項)
また分割方法の検討順位についても、下記の通り明文化されました。(新民法258条3項)
①現物分割または賠償分割
②換価分割(競売)
また、裁判所は分割請求の当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる旨も明文化されました。(新民法258条4項)
共有名義不動産は、単独の意思で変更行為や管理行為ができないことから、処分や管理を巡ってトラブルになりやすい性質があります。
今回の法改正では、行方不明者や明確な賛同の意思が確認できない共有者が居る場合の対応が柔軟になりました。
また、共有物分割請求での分割方法についても、選択肢が増えたことで、共有者全員が納得しやすい結果が生まれやすくなったと言えます。
民法改正について、詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてください。
■民法改正で共有物の管理ルールが変更|共有不動産の所有者必見
■相続&不動産の改正概要をわかりやすく解説【2023年版】
■共有持分のお悩みを解決するサイト「やさしい共有持分」
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