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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき)

株式会社中央プロパティー

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コラム

共有持分の相続放棄ができない?そんなことってありえるの?

2018年11月5日 公開 / 2018年11月7日更新

遺産相続で自分が共有不動産の権利を持つことになった時、自分がそれを望まないのなら、相続放棄の手続きをとれば共有不動産を相続しなくても済みます。

相続放棄をするためにはいくつかのルールがあり、従わなかった時は、共有持ち分の相続放棄はできなくなり、相続をしなければなりません。
どんな場合に共有不動産の相続放棄ができなくなるかを説明します。

共有持分の相続放棄ができない?そんなことってありえるの?

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の遺産を相続せずに放棄することです。

相続放棄は、被相続人が借金を残していた時に、その返済を相続人が引き継ぐ必要がなくなるメリットがあります。しかし、この手続きをしてしまえば、借金の他に遺産があってもそれらもすべて相続できなくなります。

相続放棄をした人は、相続権を失い被相続人の全ての遺産を相続できなくなります。遺産は、借金も含めて法定に基づき他の相続人が相続することになります。

相続の方法は3つ 期限までに選択すること

相続の方法は、「相続放棄」のほかに「単純承認」「限定相続(限定承認)」があります。

「単純相続」はプラスもマイナスの財産もすべて相続する方法で、「限定相続」はプラスの遺産の範囲内でマイナス遺産も相続する方法です。

相続には相続放棄を含めこれらの3つの方法があり、限定相続や相続放棄を選択する場合は、自分が相続をすると知ってから3か月以内に手続きを行う決まりがあります。これを熟慮期間と呼んでいます。熟慮期間を過ぎてしまえば、単純相続以外の方法はとれません。

相続放棄のルール

相続放棄をするには、熟慮期間に手続きをする以外にも決まりがあります。以下のルールを守らなければ、相続放棄はできなくなります。

■遺産を処分しない
相続放棄をすると決めたら、すべての遺産について何かしらの行為をすることはできなくなります。

遺産を処分する行為には次のようなものがあります。
1.被相続人の債権の取り立て(例:被相続人が所有する不動産の賃料を請求する)
2.被相続人の滞納している税金や借金を支払う
3.被相続人名義の不動産の売却
4.被相続人名義の不動産の回収
5.被相続人名義の不動産を相続人名義に変更する

このような行為はすべて「遺産を処分する」に該当するため、その後遺産放棄の手続きをとろうとしても家庭裁判所で認めてもらえなくなります。

■遺産を隠さない
相続人に都合がよくなるように財産を隠すといった行為をすれば、相続放棄は認められず単純承認を選択したと判断されてしまいます。
これは、プラスの遺産だけを不正に手に入れて借金だけを相続放棄することを防ぐためです。

共有不動産の相続放棄ができない時、考えられる原因は?

相続放棄ができなくなるのは、以上のように相続が発生してからそれ以降に、遺産の処分が一部でも行われたか、誰かが遺産を隠したことがばれてしまったことでできなくなってしまいます。
相続放棄のルールを守らなければ、単純相続しか認められなくなってしまいます。

もし、相続人の1人が、共有不動産の権利を持つことになっていて、本人がそれを希望せずに相続放棄の手続きをとろうとしても、それよりも以前に他の相続人が相続放棄のルール違反をしていたことがわかれば、自分が共有不動産の持分権利を放棄したいという手続きは認められなくなってしまうのです。

共有不動産の相続放棄ができない時持分の権利を手放すには?

相続放棄ができない状況になれば、遺産相続は単純承認か限定相続どちらかの方法をとることになります。また遺言があれば状況も変わってきます。

このような状況においても共有不動産の相続の権利を持ちたくない場合は、遺産分割協議の中で、他の相続人たちに自分の意志を伝えることが必要です。

なぜなら、権利を放棄した不動産の持分を誰が引き継ぐのか、不動産そのものをすべて売却してしまうのかなど、他の遺産も含めて相続人全員が意見の一致をして、不公平感なく遺産全体を相続することが重要だからです。

共有不動産の持分を放棄しても、他の相続人がその持分に課せられる税金を払いたくないからと言って代わりに相続することを拒否するかもしれませんし、投資家に売却することも認めてくれないかもしれません。

共有不動産の権利はいらないけど、現金はもらいたいというような都合のよい主張も他の相続人に認めてもらえてもらえないこともあります。

各共有者が、自分の利益や希望だけを主張し始めると遺産分割協議はまとまらなくなってしまいます。まとまらないまま問題を放置している間に、相続人の誰かが亡くなり、二次相続が発生すれば、さらに状況は複雑になり、やがて誰も手が付けられなくなっていきます。

遺産相続においては、このようなトラブルがよくあります。
相続人の数にもよりますが、状況によっては専門家にアドバイスをもらい、相続人たちの間に入ってもらって調整をしてもらいながら手続きを進めるべきだといえます。

不動産の遺産相続に限って言えることは、売却してその代金を相続人で折半するか、1人だけが相続するなどして、共有名義での相続をできるだけ避ける方法をとるのがおすすめです。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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