シニアの豊かなキャリアと経験知を活用し、中小企業の経営課題への取り組みを支える（2/3）

優れた専門性と経験知を生かすべく、「郊外から新しいうねりを」と立ち上がる

　羽多野さん自身、国内外を舞台に職務にまい進してきた一人。
　メガバンクでは海外拠点の責任者に、キャリアチェンジしたエンジニアリング会社では経営に関わるなど、幅広いフィールドで活躍してきました。

　家業は、信州で建築資材を扱う中小企業。苦戦を強いられ、後を継ぐべきか、厳しい選択を迫られましたが、やむなく廃業。くしくも、激動する日本経済の光と影を、身をもって知ることになったと言います。

　トータル17年に及ぶ海外勤務では、異なる文化と国民性の中で過ごし「人生哲学を築くと同時に、日本企業の在り様に気づく機会を与えてくれました」と振り返る羽多野さん。
　対話力の未熟さや閉鎖的な傾向が強い日本企業の体質にも思いを巡らせた日々だったそうです。

　2020年にビジネスパーソンとして一線を退いたものの「人生100年時代。もっと主体的に生きてもいいはずだ」と心を立て直します。

　自由な立場になって改めて目を向けた世間は、コロナ禍のさなか。羽多野さんの目には、社会全体がこれまで以上の難局を迎えているように映ったようです。

　「若い企業だけでなく、変化に適応しようとする歴史のある企業にも、新たな事業や強靭な組織づくりのために、優れた専門性と経験知を求める動きがあると確信。今こそ、活力と知恵にあふれるシニアが立ち上がり、自らの生きがいも充足させつつ、社会に力を還元するべきではないか。ここ町田から新しいうねりを起こそう」と強い気持ちに突き動かされたのでした。

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