会計・ファイナンス担当者のためのビジネス英語勉強法【初心者が実務レベルができるようになる最短の道】

小林真美

小林真美

テーマ:会計ビジネス英語1年生(会計・ファイナンス・IRの英語)

英語を使う企業の会計やファイナンス部門に配属になった人、英語のIR担当になった人にとって、「どうやって実務で使える英語を身につけるのか?」は共通の悩みです。

特化した教材も皆無な中、やみくもに英会話教材に手を出したり、オンライン英会話に申し込むのは間違っています。

なぜなら、専門的な知識を伴う会計やファイナンス部門の担当者には、一般的な日常会話の表現よりも、業績報告や予算会議などで使える英語が必要だからです。

実際の業務で使う機会の少ない一般的な英会話や、難しい構文を学んでも、本当の意味で役立つ英語は身に付きません。

学習意欲を維持するための、最大のモチベーションは、学んだことをすぐに現場で生かすという、流れをつくること。

出番のない英語を学んでいるようでは、やる気を維持することもできません。

会計やファイナンス部門に必要な英語は、数字を上手く活用し、伝えるべきことを論理的にまとめやすいものでもあります。

一方、他部門の人にはわかりにくい専門用語を多用して、話す内容を不必要に難しくしたり、単なる数字のレポートに終わってしまうリスクがあります。

会計やファイナンス担当者に求められる英語力は、数字の裏にある背景分析や、財務情報から見える提言、経営者の正しい判断を導くために必要な情報を、タイムリーに届けるスキルです。

難しく感じるかもしれませんが、会計・ファイナンスといった専門知識に英語力が加われば、鬼に金棒。グローバルに活躍する機会は大きく広がります。

グローバル企業で20数年、会計・ファイナンスに従事してきた講師の小林真美が、会計・ファイナンス部門担当者やIR担当者に必要な英語の、効率的な習得方法を解説します。


1) 中学レベルの英語から文法基礎をマスターする


言語のルールである、文法の基礎を押さえることはとても大切です。
自分の英語力に自信がない人が、文法の基礎の復習をおこたると、必ずどこかでつまずきます。

会話では多少文法に誤りがあっても、肝心な話の内容がしっかりしていてば、結構伝わります。ビジネスでの会話は一定の共通理解をベースにおこなわれるので、何を話しているのか、皆もく見当がつかないという状況も、冷静に考えれば、早々ありません。

一方、日本にいて、英語を使うビジネスシーンは、メールなど、”書く”という状況が圧倒的に多いです。

書き物での基本的な文法間違いは、致命的です。稚せつな印象を与えてしまい、信頼を失う可能性もあります。

文法の基礎を理解し、シンプルで良いので、伝わりやすい文章を書けるようになることがとても大事です。

高度な文法をマスターする必要は決してありません。中学レベルの文法を理解すれば、十分スタートラインに立てます。

まず一冊、中学英語の復習のための本を手にしてください。

大人向けでもよし、高校受験直前の中学3年生が手にとるような、”中学3年間のまとめ”の問題集でも良いでしょう。


気持ちも新たに、英語の勉強を再スタートする人には、中学生向け参考書も新鮮です。平易な言葉を使っていて解説が親切。適度なボリュームで取り掛かりやすくのもおススメです。

大切なのが、一冊に絞り、あれこれ手を出さない事。

  • 期限を数週間に区切り読み切る
  • もう一度目を通した方が良い箇所には付箋をつける
  • 付箋の箇所を二度目に読んで、もう大丈夫と思ったら付箋をとる
  • 残った付箋の箇所を三度目にもう一回よむ


ここまで終わったら、一度文法の勉強は終わりにして、次のステップに移りましょう。

2) ものごとを論理的にまとめる・複雑な事象をシンプルにまとめる力をつける


会計やファイナンス担当者に求められる英語力をつけるために、英語の基礎力を鍛えるのと同時に大切なことが、自分の説明は相手に伝わりやすいかを見直すことです。

例えば、先月の業績数字がどうだったかを、全く背景知識にない人にポイントを伝えるためには、あなたはどう説明しますか?

何から始めて、何をどこまで詳しく説明しますか?

このエクササイズ、日本語でも意外に難しいはずです。

社会的・文化的バックグラウンドが異なる外国人ビジネスパーソンに対し、第二外国語である英語で、説得力をもって自分の言いたいことは伝えるのは、容易ではありません。

英語力をつける以前に、聞き手がわかりやすい言葉で、論理的に話を展開できるスキルを磨くことが効果的です。

複雑な事を、難しい言葉で表現しても、誰にも評価されません。
数字の羅列や、専門用語を並べただけのレポートには、意味がありません。

数字の背景にある複雑な事象や問題点を、相手に何をどこまで、どういう表現と順番で話せば伝わるのか、常に整理する意識が必要です。

一見複雑な物事も、突き詰めて考えることでシンプルに表現できるようになるのが目標。

実際のビジネスの現場で、相手の立場にたってわかりやすく説明できる人は、ビジネスの経験があり、理解が深い人たちです。

まったく会計知識や業界知識のない、小学生5年生でも理解できるコミュニケーションを心がけましょう。

シンプルな説明が、わかりやすい英語にもつながります。

日中の仕事の合い間に、また一日の終わりの仕事の帰り道、何か課題を見つけて、わかりやすく説明する自主練をしてみてください。

専門用語を使い過ぎず、誰にでもわかりやすく説明するには、どこから話し始めて、何をどこまで話すか。突き詰めて考えて、言語化する練習です。

この習慣は自分の理解力を高めるきっかけになります。理解があいまいな部分があぶり出されてきます。自分は理解できていると思っていることで、実際、第三者に説明するとなると苦戦することってありますよね。

わかりやすく説明する力をつけることで、仕事のパフォーマンスもあがってきます。

先ずは日本語で練習。 それから英語にしてみてください。

3) 会計やファイナンス部門のコンテキスト(文脈)で、頻繁に使う単語や表現を集中的に学ぶ


ビジネスパーソンが実務で使える英語をマスターするには、仕事に直結する内容で英語を学ぶことが最短の方法です。

新しい単語や表現を覚える時も、実際に現場で使う可能性のある表現を優先して覚えましょう。

自分の業務に必要な英語を学んでいくことで、学習のモチベーションを維持することができます。

では、会計やファイナンス部門で使う英語はどのように学べばいいのでしょうか?

前任者や上司が書いた、英語の業績報告や予算策定書、ビジネスプランなどのコメンタリーがあれば、それを教材として使います。

  • わからない語彙は調べたり、聞いたりして理解する
  • 文章のスタイル(箇条書きを好むのか、数字はどのくらい引用すべきなど)に慣れる
  • 自分も使えそうな表現があれば、ノートに書き出しておく
  • 自分が覚えて(インプットした)表現を、メールでも会話でもいいので、使ってみる(アウトプット)


その繰り返しが大切です。

上手く相手に伝わった! という体験は大きなモチベーションにつながると同時に、記憶に残りやすく、同じような次の場面でも口から出てきます。


身の回りに参考になるような題材がない場合は、グローバル企業のアニュアルレポートをつかってみてください。

通常アニュアルレポートの冒頭にある、CEOからのメッセージが特におススメです。世界の投資家向けに、比較的平易な英語で書かれいます。

過去一年間の業績や、そこに大きく影響した出来事、会社を取り巻く環境や、これから取り組んでいくことなどが、わかりやすく書かれています。

このレポートから使えそうな英語表現を覚えると同時に、ビジネスで参考になりそうな情報を入手することも可能。ビジネスパーソンにとって、一石二鳥です。

アニュアルレポートを活用しての、英語活用に興味を持った方は、Biz英語塾の単発講座に是非ご参加ください。

4) まとめ


今回は会計・ファイナンス担当者の初心者が、実務レベルができるようになる英語習得の最短の道を解説しました。

中学レベルの文法の基礎をおさえること。英語を勉強をすると同時に、自分のコミュニケーションスタイルを論理的でわかりやすいものかを、日本語を話している時から意識すること。

学習の題材は自分の目的に合ったものを使ってください。使う場面の少ない英語を学んでも、学習継続のモチベーションになりません。

会計・ファイナンス分野で英語を使って仕事をしてきた人に、アドバイスをもらうのも有効です。自分自身にあった効率的な勉強法や、個別のアドバイスが必要な方は、Biz英語塾のコーチングサービスをご検討ください。


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小林真美
専門家

小林真美(英会話講師)

Biz英語塾

財務・経理・IR担当者を中心にビジネス英語全般を指導。著書3冊『出世する人の英語』、『だれとでも会話がとぎれない!1分間ぺらぺら英会話』、『リーダーのためのビジネス英語フレーズブック』も大好評。

小林真美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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