海外eSIMは本当に速いのか?497件の実測データで検証した"国別・接続方式別"の実態
カナダへの留学やワーキングホリデーを予定している方にとって、現地で利用するスマートフォンの通信手段は事前に考えておきたいポイントの一つです。
今回は、カナダで実際に測定されたeSIM・SIMの通信速度データをもとに、主要キャリアであるBell、Rogers、TELUSの通信速度や、日本から申し込みができるPhoneBoxの実測値について見ていきます。
今回使用するデータは、カナダのトロント・バンクーバー・モントリオールなどで測定された81件の実測データです。
※実測データの詳細は、海外モバイル通信の速度測定サービス『SOKUDO』のカナダ通信速度データでも確認できます。
全体では、平均ダウンロード速度49.4Mbps、平均アップロード速度14.8Mbps、平均Ping102msとなっています。
カナダ主要3キャリアの通信速度を比較
カナダには複数の通信事業者がありますが、今回は測定件数の多い主要キャリアであるBell、Rogers、TELUSの3社を中心に見ていきます。
あわせて比較しやすいように、TELUS回線を利用するPhoneBoxと、海外eSIMのHolafly・Trifaの実測値も掲載しています。
実測データは以下の通りです。
| サービス・キャリア | 種別 | 下り平均 | 上り平均 | Ping | 測定件数 |
| Bell | 現地回線 | 59.8Mbps | 13.3Mbps | 58ms | 18件 |
| Rogers | 現地回線 | 58.4Mbps | 13.3Mbps | 70ms | 22件 |
| TELUS | 現地回線 | 41.4Mbps | 20.2Mbps | 61ms | 27件 |
| PhoneBox | 現地TELUS回線 | 30.1Mbps | 9.0Mbps | 75ms | 8件 |
| Holafly | 海外eSIM(ローミング) | 62.5Mbps | 16.3Mbps | 148ms | 5件 |
| Trifa | 海外eSIM(ローミング) | 11.0Mbps | 3.6Mbps | 526ms | 6件 |
ダウンロード速度だけを見ると、今回の実測データではBellが59.8Mbpsで最も速く、次いでRogersが58.4Mbps、TELUSが41.4Mbpsとなっています。
TELUSはBellやRogersと比較すると下り速度がやや低い結果になっていますが、40Mbps前後出ていれば、通常のスマートフォン利用では十分な速度と考えています。
一方で、アップロード速度についてはTELUSが20.2Mbpsで3社の中では最も速い結果となりました。
そのため、下り・上りの両方を含めた通信パフォーマンスを見ると、TELUSも十分に選択肢に入る回線だと思います。
もちろん、通信速度は利用するエリアや時間帯、端末などによって大きく変わるため、今回の数値だけで各キャリアの優劣を断定することはできません。
実際、同じキャリアでも測定場所によって大きな差が出ています。
PhoneBoxの通信速度は平均30.1Mbps
次に、日本から申し込みができるPhoneBoxを見てみます。
今回集まっているPhoneBoxの実測データは8件で、平均値は以下の通りです。
- ダウンロード:30.1Mbps
- アップロード:9.0Mbps
- Ping:75ms
PhoneBoxはTELUS回線を利用しています。
実測値を見ると、今回集計したTELUS回線全体の平均値と比較して極端に遅いという印象ではありません。
実際のPhoneBoxの測定結果を見ても、Newfoundlandで29.7Mbps、St. John'sで14.5Mbps、Bay Robertsでは97.6Mbpsなど、測定エリアによってかなり速度差があります。
そのため、PhoneBoxだから通信速度が遅いというよりも、現地の通信環境や利用場所による影響も大きいと考えた方がよいでしょう。PhoneBoxの料金やプラン、口コミ・評判、申し込み時の注意点については、「PhoneBoxの評判・口コミを詳しく解説した記事」でまとめています。
PhoneBoxはPingも大きく上がっていない
個人的に注目したいのがPingです。PhoneBoxの平均Pingは75msとなっています。
Bellは58ms、Rogersは70ms、TELUSは61msなので、現地キャリアと比較して多少の差はあるものの、大きく遅延しているわけではありません。
Ping値が小さいのは、PhoneBoxがTELUSの現地ローカル回線を利用しているメリットの一つだと考えています。
一方、海外旅行向けeSIMでは、通信の経路によってPingが大きくなるケースがあります。今回のデータでは、Holaflyは平均148ms、Trifaは526msとなっています。
海外eSIMでは、必ずしもカナダ国内で通信が完結するわけではなく、別の国にある通信設備などを経由してインターネットへ接続する場合があります。
こうした通信経路によっては、物理的な距離が長くなり、Pingが高くなることがあります。
その点、現地ローカル回線を利用するサービスは、通信速度だけではなく遅延という面でもメリットがあります。
長期滞在なら現地回線が理想。ただし契約のハードルもある
通信環境だけを考えるのであれば、カナダ現地でBell、Rogers、TELUSなどのローカル回線を直接契約する方法は有力な選択肢です。
特に長期留学やワーキングホリデーで利用するのであれば、現地回線を利用できることにはメリットがあります。
一方で、日本から現地キャリアを直接契約するのは簡単ではありません。
現地での手続きや本人確認などが必要になる場合もあり、カナダへ渡航する前に日本からすべて準備しておきたい方にとっては、少しハードルがあります。
そうした方にとって、TELUS回線を利用し、カナダの電話番号も利用できるPhoneBoxは選択肢の一つになると思います。日本にいる間に申し込みを済ませておけば、渡航後の通信手段を事前に準備できます。
PhoneBoxは料金・請求の仕組みを理解してから申し込みたい
PhoneBox自体は比較的分かりやすいサービスですが、初めて利用する方にとっては、料金や請求サイクルなどが少し分かりづらい部分もあります。
例えば、最初の支払いでは複数月分の料金が必要になる場合があり、税金なども加算されます。
また、公式サイトや公式アプリは基本的に英語です。
これから留学やワーキングホリデーに行く方であれば、今後現地で英語を使うことになりますので、英語のサービスに慣れておくこと自体は悪くありません。
ただ、渡航前の通信契約で料金や契約内容を勘違いしてしまうと、余計なストレスになります。
特に「最初にいくら請求されるのか」「どのタイミングから料金が発生するのか」といった部分は、申し込み前に確認しておいた方がよいでしょう。
日本語で内容を確認してから申し込む方法もある
BeaconLinkでは、PhoneBoxの日本向け公式パートナーとして、日本語でPhoneBoxの申し込みができるサイトを提供しています。
基本的にPhoneBox公式サイトと同じ料金で申し込みができ、事務手数料もかかりません。
PhoneBoxを取り扱う窓口によっては別途事務手数料が設定されているケースもあるため、実際に支払う金額をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
特にこれから初めてカナダへ留学・ワーキングホリデーに行く方で、
「通信契約の内容を日本語で確認しておきたい」
「渡航後に通信トラブルで時間を取られたくない」
という場合には、日本にいる間に内容を確認した上で準備しておくのも一つの方法です。
PhoneBoxは通信速度だけでなく、現地回線と電話番号を重視する人向け
今回の実測データでは、PhoneBoxの平均ダウンロード速度は30.1Mbps、平均Pingは75msでした。
速度だけを見るとBellやRogersの平均値より低い結果ですが、通常利用には十分な通信速度が出ています。
また、海外旅行向けeSIMと比較すると、TELUSのローカル回線を利用していることによるPingの低さも特徴の一つです。
カナダに短期間旅行するだけであれば、海外旅行向けeSIMでも十分なケースは多いと思います。
一方で、留学やワーキングホリデーなどで長期間滞在し、現地の電話番号やローカル回線を利用したい場合には、PhoneBoxのようなサービスも選択肢に入れてみてください。
通信速度だけを見るのではなく、
「どの回線を利用するのか」
「現地電話番号が必要か」
「日本にいる間に契約しておきたいか」
まで含めて、自分の滞在スタイルに合った通信手段を選ぶことが重要です。


