海外eSIMは本当に速いのか?497件の実測データで検証した"国別・接続方式別"の実態
こんにちは。BeaconLink合同会社代表の阿部宏貴です。マイベストプロ東京では、「海外渡航先のネット環境向上に貢献する通信の専門家」として活動しています。
前回のコラムでは、海外モバイル通信の実測データ497件を分析し、eSIM・現地SIM・ローミングの速度差について書きました。今回は法人の海外出張における通信費について、業界の内側からお話しします。
結論から言うと、多くの企業が海外出張の通信手段として採用している「全員一律のレンタルWiFi(いわゆる法人WiFi)」は、構造的に割高です。用途に応じてeSIMとWiFiルーターを使い分けるだけで、年間の通信費を最大80%削減できるケースがあります。
なぜそう言い切れるのか、順を追って解説します。
「全員一律レンタルWiFi」が高くなる3つの構造的理由
法人の海外出張で最も多い通信手段は、いまだにレンタルWiFiルーターです。担当者にとっては「全員に同じものを渡しておけば安心」という心理が働きますし、実績のあるサービスも多い。選ばれる理由はよくわかります。
しかし、コスト構造を分解すると、ここに3つの「見えにくいムダ」が隠れています。
1つ目は、利用日数に関係なく発生する「端末レンタル基本料」です。
多くのレンタルWiFiサービスでは、データ通信料とは別に端末のレンタル料が1回あたり数百〜千円以上かかります。3日間の韓国出張でも、2週間の中国駐在でも、この固定費は毎回発生します。年間で延べ60名が渡航する企業なら、端末基本料だけで年間数万円〜十数万円が積み上がります。
2つ目は、「1日あたりの定額制」による過剰支払いです。
レンタルWiFiの料金体系は「1日○○円」が一般的です。しかし実際には、移動日やホテル滞在日など、ほとんどデータを使わない日もあります。それでも1日分の料金は満額かかる。メールチェック程度しかしない社員にも、動画会議を何時間もする社員と同じ料金が課される。ここが「全員一律」の最大の非効率です。
3つ目は、「返却・管理の見えない人件費」です。
ルーターには必ず返却がつきまといます。空港カウンターに並んだり、返却忘れの督促、破損・紛失時の補償処理。これらは通信費の請求書には一切載りませんが、担当者の稼働時間としてはしっかり発生しています。
仮に返却対応1件あたり15分としても年間60名分で15時間。時給換算すれば数万円の「見えないコスト」です。請求書に載らないから最適化の対象になりません。これが隠れたレンタルWiFi運用の盲点です。
「月額0円」の常備型WiFiの注意点
最近は「月額基本料0円・使った日だけ課金」を謳う常備型のWiFiルーターサービスも登場しています。従来の都度レンタル型と比べれば、受け取り・返却の手間がなく、合理的なモデルです。
ただし、こうしたサービスにもいくつか注意点があります。
まず、月額0円を実現する代わりに、1日あたりの通信単価が高めに設定されているケースがあります。たとえば海外利用で1日1,000円超のプランが標準だと、7日間のアメリカ出張で1人あたり7,000〜11,000円。eSIMなら同条件で1,000〜3,000円台に収まることも珍しくありません。
次に、端末の最低利用期間や台数見直し条件が設定されている場合があります。「使わない月は無料」でも、一定期間利用がなければ端末返却を求められたり、解約時に違約金が発生する契約形態も存在します。
さらに、端末が中古品である場合、バッテリー劣化や故障リスクを考慮する必要があります。補償オプション(月額980〜2,980円/台)に加入すると、実質的には月額固定費が発生しているのと変わりません。
常備型WiFi自体は優れたコンセプトですが、「月額0円」の看板だけで判断せず、年間トータルコストで比較することが重要です。
eSIMとレンタルWiFiの費用比較── 「使い分け」で年間60名規模がどれだけ変わるか
では、実際にどれくらいのコスト差が出るのか。年間延べ60名(毎月5名)が海外出張する中堅企業を想定して試算してみます。
| 渡航先 | 既存WiFiレンタル | eSIM最適化後 |
|---|---|---|
| アメリカ(18名×7日) | 約160,000円 | 約23,000円 |
| 中国(15名×10日) | 約236,000円 | 約59,000円 |
| 東南アジア(15名×7日) | 約133,000円 | 約18,000円 |
| 韓国・台湾(9名×5日) | 約44,000円 | 約8,000円 |
| 欧州(3名×10日) | 約47,000円 | 約17,000円 |
| 端末基本料金 | 約71,000円 | 0円 |
| 年間合計 | 約690,000円 | 約125,000円 |
年間削減額:約565,000円、削減率82%。
この差が生まれる最大の要因は、「メール確認程度の短期出張にも無制限プランの料金を払っていた」ことにあります。eSIMなら、3日間・1GBのプランを1,000円以下で手配できます。無制限プランが必要な社員にだけ無制限を割り当てれば、全体のコストは劇的に下がります。
なお、上記は公開料金表に基づくモデル試算です。実際の削減額は渡航先・日数・人数によって変動します。
「eSIMに変えたいが、現場が混乱しそう」という懸念
法人担当者の方からよくいただく懸念が3つあります。それぞれに回答します。
① 社員がeSIMを設定できるか不安
eSIMの設定は、メールで届いたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るだけです。所要時間は1〜2分。
レンタルWiFiの受け取り・返却よりはるかにシンプルです。
ただし、eSIM対応端末であることの事前確認は必須です。電話アプリで「*#06#」とダイヤルし、EID(eSIM識別番号)が表示されれば対応しています。
通信品質については、前回のコラム「海外eSIMは本当に速いのか?」で497件の実測データをもとに検証しています。eSIMの平均下り速度45.6MbpsはZoomビデオ会議の推奨速度の約15倍に相当し、業務利用に十分な水準です。
② MDM(モバイルデバイス管理)で制限されている端末がある
企業がMDMでスマートフォンを一括管理している場合、eSIMの追加がブロックされることがあります。この場合はIT管理部門に「モバイル通信プランの変更制限」を一時解除してもらう必要があります。
事前に確認しておけば、現地でのトラブルは防げます。
③ PC作業が多い社員にはWiFiルーターが必要では
その通りです。eSIMはスマートフォン単体の通信には最適ですが、ノートPCでの長時間作業やチームでの回線共有には、WiFiルーターの方が適しています。
重要なのは「全員にルーター」ではなく「必要な人にだけルーター、それ以外はeSIM」という使い分けです。この組み合わせがコスト最適化の本質です。
海外出張の通信手段3タイプを比較 ── 都度レンタル・常備型・海外eSIM
ここまで紹介した法人向け海外通信の3タイプを比較表にまとめました。自社に最適な組み合わせを選ぶ参考にしていただければ。
| 項目 | 都度レンタル | 常備型WiFi | 海外eSIM |
|---|---|---|---|
| 受取・返却 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 月額基本料 | 利用時のみ | 0円〜 | 0円 |
| 1日単価 | 1,000〜1,500円 | 700〜1,200円 | 300〜1,000円 |
| 配布方法 | 空港・配送 | オフィス常備 | メール配信 |
| 同時接続台数 | 2〜4台 | 2〜4台 | 1台(スマホ単体) |
| 向く企業 | 年間渡航が少ない企業 | 継続的に渡航する企業 | 社員数が多い企業 |
表のとおり、ノートPCを業務のメインで使う社員にはWiFiルーターが適しています。eSIMでもテザリングでPC接続は可能ですが、スマートフォンのバッテリー消費が激しく、長丁場のPC作業は充電しながらの運用が必要になります。
長時間の会議や移動中のPC作業では、WiFiルーターの方が現実的です。
専門家として、法人の海外通信で見るべき3つの判断基準
最後に、法人担当者の方が海外通信サービスを選定する際に、私が重要だと考える判断基準を3つ挙げます。
① 1人あたりの適正コストを考える
全員一律の料金プランは管理が楽ですが、コスト最適化とは相反します。渡航先・日数・業務内容に応じて、社員ごとにプランを変える柔軟性があるサービスを選ぶべきです。
② 請求書の一本化ができるか
eSIMはA社、WiFiルーターはB社、VPNはC社という状態では、経理担当者の処理負荷が増えるだけです。eSIM・WiFi・VPNをまとめて1枚の請求書で処理できるサービスが、実務上は最も助かります。
③ 社員へのeSIM配布から利用まですぐにできるか
急な海外出張でも、eSIMならメール配布だけで手配が完了します。WiFiルーターの配送待ちや空港受け取りは不要です。
当社のJapanConnect Bizでは、注文時に各社員のメールアドレスを指定すれば、QRコードと設定マニュアルをセットで一括配信します。社員側は届いたメールを開いてQRコードを読み取るだけ。
担当者側にはeSIM送付状が届き、どの社員にどのICCID(識別番号)が割り当てられたか一覧で確認できます。
「手配して終わり」ではなく、誰に何を配布したかの管理まで完結するかどうか。ここが法人向けサービスの選定基準になります。
当社の法人向け海外通信サービスについて
私たちBeaconLinkは、上記の課題を解決するために法人向け海外通信サービス「JapanConnect Biz」を提供しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供サービス | 海外eSIM・WiFiレンタル・NordVPN |
| 対応国 | 世界133ヵ国以上 |
| 初期費用・月額料金 | 0円(利用分のみの買い切り型) |
| 請求書払い | 対応(月末締め・翌月末払い・インボイス対応) |
| 料金見積り | Web上でシミュレーション可能 |
| 見積書発行 | Web上で即時PDF発行(会員登録必要) |
| eSIM配布方法 | 社員のメールアドレスへQRコード自動配信 |
| サポート | 平日9:00〜18:00(技術トラブルは土日対応可) |
「全員一律レンタルWiFi」からの切り替えで年間通信費を大幅に削減した事例として、大手インフラ企業様、関東圏の私立高校様、旅行会社様などにご導入いただいています。
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