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馬屋原康平

マネーセミナーおよび資産形成に強いFP

馬屋原康平(まやはらこうへい) / 独立系FP

ブライトリンクス株式会社

コラム

きっと役に立つお金の話3 繰り上げ返済と住宅ローン減税はどっちがお得?

2018年6月24日

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 住宅ローン 借り換え住宅ローン 固定金利住宅ローン 審査

皆さん、こんにちは。
私は普段、皆様のお金に関する様々なご相談を受けているのですが、ここ最近は超低金利の時代になって、住宅ローンの金利もかつてないほどに低くなり、お家の購入を考えて、ご相談にいらっしゃる方も少なくありません。お子様などご家族がいらっしゃる方だけでなく、独身のOLさんなどでも、どうせ家賃を払うなら、自分の物になった方が良いかという事で購入を検討される方も多くいらっしゃいます。



住宅ローン資金計画


現在の収入や準備できる頭金の額によって、どのくらいの金額のお家が購入できるのか、いくらくらいのローンが組めるのかなどは簡単にシミュレーションできますので、ご相談にいらっしゃる皆様は、購入する前に将来のローンの計画など綿密に立てられて、事前に納得してマイホームを手に入れられる方がたくさんいらっしゃいます。
マイホームを購入するところまでは不動産屋さんや金融機関などでも、ローンなどシミュレーションしてくれると思いますが、実際にお家を購入されてローンの返済が始まってからは、どこに相談したら良いのかも分からず、今回のテーマになっている繰り上げ返済のご相談でいらっしゃる方が多く、さらに自分で計算したりすることが難しいので、それについてお話ししたいと思います。

最近の住宅購入の傾向


今の時代は、結婚される時期も昔と比べると年齢も高くなってきていて、住宅を購入される時期も20代で購入される方よりも、30代、40代で購入される方の割合が多くなってきていると思います。住宅ローンは最長で35年ですので、多くの皆様が35年のローンを組まれるケースが多いと思います。
金融機関の住宅ローンは通常80歳が返済期限の限度ですので、30代後半~40代でローンを組まれると、70代になってもローンを払わないといけないという事になります。
一般的なサラリーマンなどの場合だと、60歳で定年退職して、その後数年間は再雇用などで働いて65歳くらいで完全に引退されるという方が多いのではないかと思いますが、引退した後までローンを払いたくないというのが、ほとんどの方が思うところだと思います。
ローンを組まれている皆様は、ほとんどのケースで将来的に繰り上げ返済を考えられていると思います。



繰り上げ返済はした方が良い?


基本的に繰り上げ返済は、積極的にした方が良いです。
例えば3,000万円のローンを金利0.6%、35年で組んで、返済開始から2年経過したタイミングで100万円を返済期間短縮で繰上げにした場合、短縮される期間は1年3か月、将来的な返済利息の軽減額は約21万円になります。
繰り上げ返済はある程度貯まってきてから、まとめて大きく返済される方もいらっしゃいますが、基本的に繰り上げの場合は返すタイミングは少しでも早い方が有利ですので、少しずつでもどんどん返していった方が有利になります。なぜかというと借入の金利は借りている総額に対して掛かってきますので、元本が少しでも少ない方が、それだけ将来的に払わなければならない利息も少なくなりますし、短縮できる期間も多くなります。
例えば前出の3,000万円のローンの場合、返済開始から25年経過したところで同じように100万円を繰り上げ返済にした場合、短縮される期間は1年1か月、返済利息の軽減額は約57,000円になります。
2年目で繰り上げた場合と、25年経った時とで、だいぶ変わってきますね。
2年目で繰り上げた場合は、100万円に対して、その後33年の間にかかる金利分が軽減されるのに対して、25年経過した後だと、残りの10年の間にかかる金利分が軽減されるだけですので、大きな違いになってきます。これから分かるように繰上げは、出来るだけ早い時期にできるだけ多く返済した方が、効果が高いことが分かりますね。

繰り上げ返済と資産運用について


よくご相談で、繰り上げ返済と将来への積み立てなど資産運用とどちらを優先した方が良いかという事を聞かれます。もちろん繰り上げ返済で軽減される返済額以上に運用の効果のある投資などであれば、やる価値がある場合もあるかもしれません。ただし投資はあくまでも投資ですので、預金などの金利以上の効果が期待できる金融商品はリスクがあるのが普通です。うまく運用できれば良いですが、失敗した場合を考えると自信が無い場合は、繰り上げの方を重視していただいた方が良いと思います。住宅ローンは、ここ最近は金利がかなり低くなっているとはいえ、元本が大きいですので、金額にしたら利息分だけでもかなりの金額になります。
先ほどの例の3,000万円、返済期間35年、金利0.6%のローンの場合だと、繰り上げなどしないで最後まで払った場合の支払利息は約327万円になります。たった0.6%でも、これだけかかるんです。これを上回る運用ができるのであれば、投資をしても良いと思いますが、実際にはそんなに簡単ではないと思います。
ただ、老後の資金など遠い将来に使う予定のお金を積み立てる場合は、いまお話ししているローンの返済と逆の原理で、出来るだけ早い時期に始めて時間を味方につける方がより効果的に運用できる可能性が高いです。
このあたりのバランスが難しいと思いますが、基本的にローンの返済を優先して、余力があれば運用に回すくらいの感覚でいるのが良いと思います。

住宅ローン減税について


もう一つよくあるご相談で住宅ローンを活用した場合は、それとは別に住宅を購入されて、ローンを組んだ場合、住宅借入金等特別控除という制度があります。
これは何かというと、住宅ローン等を利用して居住用の家屋を新築したり、中古の住宅を購入したり、増改築などしたりした場合に、一定の条件を満たすと、その住宅ローンの年末の残高の1%が、10年間に渡って所得税から控除される制度です。
以前、所得控除について書きましたが、所得控除は税金をかける元になる金額から差し引いてくれる制度ですが、住宅借入金等特別控除は税金の額から直接引いてくれる制度ですので、効果は高いです。
例えば住宅ローンの残高が3,000万円あると、1%の30万円がその年に納めなければならない税金の額から直接引いてもらえます。
所得税から引ききれない場合は翌年の住民税からも引くことが出来ます。
残高が徐々に減っていくと思いますが、それでもこれだけ税金が少なくなるのは大きいと思います。



最終的にどちらがお得?


繰り上げ返済と控除のどちらが得かという事ですが、繰り上げをしたとしても、もちろん控除は出来ますので、例えば前出の例で年末の残高が3,000万円ある場合と、繰上げして2,900万円になる場合だと、税金から引ける金額は30万円と29万円ですので1万円の違いですが、最初に説明した通り繰り上げした場合は将来的な返済利息はその分以上に少なく出来る場合が多いと思いますので、結論は繰上げをしながら控除も活用です。
細かいところを考えると、12月に繰上げするような場合は、少しだけ延ばして1月に繰上げした方が控除できる金額を多く出来ますので、借り入れの残高や利率によっては、そうした方が得になる場合もあると思います。実際には状況によって細かい計算が必要になると思いますので、専門家に相談される方が良いと思います。
現実的にはあまり細かいことを気にするのもストレスになると思いますので、あまり細かいことを気にしないで、どんどん積極的に返済していくのが良いのではないでしょうか?

2017年3月
2018年6月加筆修正

この記事を書いたプロ

馬屋原康平

マネーセミナーおよび資産形成に強いFP

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