「わかっているのに変われない」の心理学 ― ストレス社会と食行動(第2回)
前回の振り返り:心と食の"見えないつながり"
前回は、「わかっているのに変われない」というテーマで、ストレス社会が生み出す"食の乱れ"と心の関係についてお話ししました。
食べすぎや衝動的な食行動は、意志の弱さではなく、心の疲れや感情のサインであること。
そして、自分の思考パターンの中にいる限り、そのパターンから抜け出すのは難しいということをお伝えしました。
今回は、その続きとして――多くの人が「わかった後も変わらない」という現実に向き合い、本当の変化とは何かをお話しします。
目次
- 前回の振り返り
- 心と食の"見えないつながり"
- 1年後の現実:8割以上が同じ悩みを抱えている
- 「わかる」と「変わる」は全く別の問題
- なぜ一人では変わらないのか
- 変わった人の共通点
- あなたの中に、いつでも「選択肢」はある
前回の振り返り:心と食の"見えないつながり"
前回は、「わかっているのに変われない」というテーマで、ストレス社会が生み出す"食の乱れ"と心の関係についてお話ししました。
食べすぎや衝動的な食行動は、意志の弱さではなく、心の疲れや感情のサインであること。
そして、自分の思考パターンの中にいる限り、そのパターンから抜け出すのは難しいということをお伝えしました。
今回は、その続きとして――多くの人が「わかった後も変わらない」という現実に向き合い、本当の変化とは何かをお話しします。
1年後の現実:8割以上が同じ悩みを抱えている
「自分でやってみます」とおっしゃった方の8割以上が、1年後も同じ悩みを抱えたままです。
つまり、1年間、同じループの中にいるということ。
食べすぎて後悔して、明日から変わろうと思う。
でも、また同じパターンが繰り返される。
蓄積されるのは、「やっぱり自分はダメだ」という疲労感と、その思考パターンの強化です。
でも、それは意志が弱いからではありません。むしろ、何度も頑張ってきた証拠です。
変われないのは、あなたの努力が足りないからではなく、「心の仕組み」をまだ正しく使えていないだけなのです。
「わかる」と「変わる」は全く別の問題
ここで重要な区別があります。
「わかる」≠「変わる」
ダイエット中、「間食がカロリー過多」なことを完全にわかっています。
でも、間食をやめられません。
なぜか?
知識では、行動は変わらないからです。
心と食の問題も、これとまったく同じ仕組みです。
なぜ一人では変わらないのから
ストレスを感じたとき、あなたの頭は「ストレスを感じている。食べるべきじゃない」と判断します。
しかし、同時にあなたの心身は「今、食べることで、この不快感を消したい」と叫んでいます。
その葛藤の中で、もがくのですが結局のところ、心身の方が勝つ。
なぜなら、その欲求は理性よりもはるかに強く、深く深く根付いているからです。
一人で「気をつけよう」と思っても、同じ思考の枠組みの中では、この葛藤を乗り越えることは残念ながらできません。
そして、この波は何度も押し寄せて、そのたびに強くなっていきます。
毎回、「今回は違う。今回は我慢できる」と思って、毎回失敗する。
その繰り返しが、1年間続くのです。
変わった人の共通点
実際に変わった人に共通していた特徴があります。
それは、自分の反応パターンを、外部の視点で観察する習慣がついたということです。
ストレスを感じて、いつもの反応が起きかけた瞬間。「あ、今また同じパターンが起きている」――その気づきが、瞬間的に起こるようになる。
そしてその瞬間、「今回は、別の選択肢を試してみよう」という新しい道が開く。
これは、一人で思考を繰り返していただけでは起きません。
当たり前のことを、自分では気づけない。
しかし、第三者の視点があると、その「当たり前」が可視化される。それこそが、変化の第一歩なのです。
変わるために必要なのは「強い意志」ではなく、「自分を映してくれる鏡」のような存在です。
あなたの中に、いつでも「選択肢」はある
一人で向き合い続けることも、一つの選択肢です。
ただし、8割以上が1年後も同じ状態にあるというのが現実。
一方で、適切な方法で向き合い直すことで、その状況から抜け出した人も大勢います。
その違いは、「能力の有無」ではなく、どのアプローチを選んだかという、ただそれだけです。
変化は、いつでも可能です。そしてそれは、誰か特別な人だけのものではありません。
もし、自分では気づいていないパターンがあり、それに向き合いたいと感じたなら。
いつでもお力になります。あなたの心と体が本当に求めているものを、一緒に見つけていきましょう。



