8割がつまずく「変われない壁」を超える ― 心と食の関係を整える方法(第三回)
健康診断の数値が気になる。でも、会食は断れない。
40代を過ぎると、多くの経営者やビジネスパーソンが同じジレンマを抱えています。
健康診断で気になる数値が出る。医師からは「運動と食事制限を」と言われる。
でも現実には、商談や接待の会食が続く。ストレスで深夜に食べてしまう。ジムに通う時間もない。
「このままではマズい」と思いながらも、何から手をつければいいのか分からない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
「ダイエットの先生の前で食べてはダメですよね?」
ダイエットを教えていると、会食の席でよく言われる言葉があります。
「ダイエットの先生の前でこんなに食べてはダメですよね?」
そんな時、私はいつもこう答えています。「食べても大丈夫ですよ!」そして私自身も、その場を心から楽しみながらたくさん食べています。
なぜなら、私は食べることが大好きだから。
そして何より、食は人生を豊かにしてくれて、人との繋がりをもたらしてくれるものだと信じているからです。
ビジネスの大切な場面で、目の前の料理を我慢しながら罪悪感を抱えて過ごす。それは本当に健康的と言えるでしょうか?
私は、食べるのを無理して我慢してまで痩せなくてもいいと思っています。
我慢するダイエットが続かない理由
「食べるのを我慢すれば痩せる」
確かにその通りです。でも問題は、それが続かないということ。
多くの方が経験しているはずです。一時的に我慢して体重を落としても、我慢を止めた瞬間、あっという間にリバウンドしてしまう。それどころか、以前より増えてしまうことさえある。
なぜこんなことが起きるのか?
答えはシンプルです。我慢は、長期間続けられないからです。
特に、責任のある立場で日々プレッシャーと戦っている方々にとって、食事まで我慢し続けることは現実的ではありません。
ダイエットは、自分の扱い方を知ること
では、どうすればいいのか?
私が考えるダイエットとは、「セルフコントロール」です。
ただし、ここで言うコントロールは「我慢する」という意味ではありません。自分の扱い方を知るということです。
たとえば、車を運転する時のことを考えてみてください。その車の癖を知っていれば、安全に、快適に走れます。アクセルの反応、ブレーキの効き具合、カーブでの挙動。それらを理解しているから、無理なく運転できる。
体も同じです。自分の体や心の特性を知っていれば、無理なく、自然に健康的な状態を保てるようになります。
一見簡単なことのように聞こえるかもしれません。でも実は、これが最も難しい。そして、一人で行うのが最も困難なことなのです。
なぜなら、自分のことは自分が一番見えにくいから。自分の思い込みや習慣に気づくのは、想像以上に難しいものです。
「自分で自分を知った気になっていた」
だからこそ私は、「自分を面白がって知っていく」というプロセスを大切にし、重点的にサポートしています。
自分のことを知ること。これがセルフコントロールの第一歩です。
実際、クライアントの多くが「自分で自分を知った気になっていた」とおっしゃいます。
私自身も、かつて同じ経験をしました。分かっているつもりで、実は全く分かっていなかった。第三者の視点があって初めて、自分の本当のパターンが見えてくる。
ダイエットにおける自分の扱い方は、ちょっと特別です。
「分かった、じゃあ自分でやってみよう」と思っても、多くの方が同じ場所でつまずいてしまう。
でも面白いことに、これは人生のあらゆる場面に応用が利きます。
自分を客観的に見る力。完璧を求めず、データとして捉える姿勢。柔軟に調整していく余裕。これらは、ビジネスの意思決定にも、人間関係にも、すべてに通じるものです。
大切なのは、義務ではなく好奇心を持つこと。「へえ、私ってこうなんだ」という発見を楽しむこと。それが、続けられる理由になります。
完璧を求めない自由
もう一つ、大切にしていることがあります。
それは、完璧を求めないということです。
食べ過ぎた日があってもいい。数日かけて調整すればいい。白か黒かではなく、グレーでいい。
多くの人は「食べ過ぎた=失敗」と考えて、そこで諦めてしまいます。でも、それは失敗ではなく、ただのデータです。「今日はこうだった」というだけの情報。そこから「じゃあ次はこうしてみよう」と考えればいい。
経営も同じではないでしょうか?一つの施策が思うように行かなかったからといって、すべてを投げ出すことはない。データを分析して、次の手を打つ。
ダイエットも、それと同じアプローチでいいのです。
この余裕が持てるようになると、ダイエットは苦行ではなくなり、自分との対話になります。
リバウンドしない理由
自分の扱い方がわかるようになると、意志の力や我慢は不要になります。
だからリバウンドしないのです。
自分の体と心の仕組みを理解していれば、一時的に食べ過ぎたとしても、どう調整すればいいかが分かります。
罪悪感に苛まれることもありません。ただ淡々と、自分に合ったやり方で整えていけばいい。
これが、私が考える「自然に痩せる」ということです。
特別な食事制限も、激しい運動も必要ありません。必要なのは、自分のことを知り、自分に合った方法を見つけること。それだけです。
わたしがダイエットを通して伝えたい想い
私がダイエット指導を通して本当に実現したいこと。それは、輝く人を増やしていくことです。
食べる楽しみを奪わず、罪悪感を感じず、自然に痩せる方法で自分の可能性を広げていく。
そんな人が一人でも多く増えていってほしいと願っています。
40代以降は、仕事でも人生でも最も充実した時期です。経験も積み、判断力も磨かれ、本当の意味で力を発揮できる時期。
この大切な時期に、食事の我慢や罪悪感に時間とエネルギーを奪われるのはあまりにももったいない。
自分を知り、自分を受け入れ、自分に合ったやり方で健康になっていく。そうして得られた心身の充実感は、仕事のパフォーマンスにも、人生の質にも大きく影響していきます。
会食の席で堂々と食事を楽しみながら、それでいて健康的な体を維持できる。ストレスを感じることなく、自然に理想の体型に近づいていける。
そんな自由で豊かな生き方が、あなたにもできるはずです。
もし今、「このままではマズい」と感じながらも、どうすればいいか分からずにいるなら
我慢するダイエットで何度も挫折してきたなら。
一度、自分の扱い方を知る、というアプローチを試してみませんか?



