“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい」
私は学生時代、勉強が本当に苦手でした。
特に中学生のころ、周囲が問題をスラスラ解いていく中で、自分だけが立ち止まっているような感覚に何度も襲われました。
あるとき、勇気を出して質問した先生に、こう言われたことがあります。
「なんでこんなこともわからないの?みんなできてるよ」
その一言で、心にフタをしてしまいました。
「もう質問しちゃいけない」「できない自分を見せてはいけない」
そうやって、わからないことをごまかしながら過ごすうちに、気づけば勉強だけでなく日常生活でも自信を失っていったのです。
正解を探して、誰かの言葉をただ写すような日々。
「自分で考えて動く」ことにブレーキがかかり、まるで指示待ちのロボットのようになっていました。
そんな私が転機を迎えたのは、「自己効力感(=自分はやれると思える感覚)」の重要性を知ったときです。
「できた!」という小さな成功体験を重ねることで、人は変わっていける――その事実に触れたとき、自分自身の過去が腑に落ち、そして“教育者としての使命”を強く意識するようになりました。
今、私は「ステップアップ塾Besq」「サイエンスゲーツ」「オンライン家庭教師BesQ」といった複数の教室を運営しています。
どの場所でも、共通して大切にしているのは、「できない」を否定しない教育です。
子どもが“わからない”と感じたとき、その裏にある「不安」や「自己否定」を、まず受けとめてあげたい。
学力の向上はもちろんですが、それ以上に、「やってみようかな」と思える心を育てることが、教育者としての私の役割だと信じています。



