「ケアレスミスが多い」という指摘で、学力は本当に伸びるのか
不安が強いと、人は本当に「考えられなくなる」
テスト中、普段なら解けるはずの問題で手が止まる。
家では理解できていた内容が、なぜか頭から抜け落ちてしまう。
「ケアレスミスが多い」
「集中力が足りない」
こうした言葉で片づけられがちな子どもたちのつまずきの背景には、学力とは別の、もっと根本的な要因が隠れていることがあります。
それが「不安」です。
不安が強い状態では、人は本当に「考える」ことができなくなります。
これは気持ちの問題や性格の問題ではなく、脳の働きとして実際に起きている現象です。
不安が高まると、脳は「考える」より「守る」を優先する
人が考えるときに主に使っているのは、脳の前頭前野と呼ばれる部分です。
ここは、判断・計画・思考・注意のコントロールなどを担っています。
一方で、不安や恐怖を感じたときに強く反応するのが扁桃体です。
扁桃体は「危険から身を守る」ための働きを持っています。
不安が強くなると、脳は自動的に
「考えるモード」から「身を守るモード」へと切り替わります。
このとき、前頭前野の働きは抑えられ、
結果として
・考えがまとまらない
・判断が雑になる
・分かっていたはずのことが使えなくなる
といった状態が起こります。
つまり、「考えられなくなる」のです。
「できない」のではなく、「使えない」状態になっている
教室で子どもを見ていると、
「理解していない」のではなく、
「理解している内容を使えない」状態に陥っているケースが少なくありません。
・時間制限がある
・間違えたら怒られるかもしれない
・周りと比べられる
こうした状況が重なるほど、不安は強まります。
そして不安が強まるほど、脳は思考を止めてしまいます。
その結果として表に出てくるのが、
いわゆる「ケアレスミス」や「集中力不足」です。
しかし、これは原因ではなく結果にすぎません。
叱責や演習量の増加が逆効果になる理由
「もっと集中しなさい」
「なんでこんなミスをするの」
「演習量が足りないからだ」
こうした対応は、一見正しそうに見えます。
しかし、不安が原因で考えられなくなっている子どもに対しては、逆効果になることも少なくありません。
不安な状態のまま量を増やすと、
・失敗体験が増える
・「やってもできない」という感覚が強化される
・自己評価が下がる
という悪循環に入ります。
努力しているのに成果が出ない経験ほど、
子どもの学習意欲を削るものはありません。
努力が機能するのは、「考えられる状態」に戻ってから
誤解してほしくないのは、「努力は不要だ」と言いたいわけではない、ということです。
努力が力になるためには、まず脳が落ち着いて考えられる状態に戻る必要があります。
そのために大切なのは、
・小さな成功体験を積み重ねること
・失敗しても否定されない環境をつくること
・手順や考え方を分解して示すこと
こうした「安心して考えられる設計」です。
不安が下がれば、脳は自然と本来の働きを取り戻します。
すると、同じ子でも
「急に解けるようになった」
「ミスが減った」
という変化が起こります。
学力の問題に見えるものの多くは、脳の使われ方の問題
「できない子」なのではありません。
「考えられない状態」に置かれているだけなのです。
学力を伸ばすために必要なのは、
才能でも根性でもなく、
安心して思考できる土台です。
不安が強いと、人は本当に考えられなくなります。
だからこそ、成績や結果を見る前に、
その子が「考えられる状態」にあるかどうかを見直す必要があるのではないでしょうか。
学びは、脳が落ち着いて初めて始まります。
こうした考え方のもと、葛西にあるステップアップ塾BesQでは、成績や結果だけを見るのではなく、子どもが「安心して考えられる状態」にあるかどうかを何より大切にしています。
できなかった理由を叱るのではなく、どこで思考が止まったのか、どこに不安が入り込んだのかを一緒に整理する。
学びの土台を整えることで、結果はあとから自然についてくる
私たちは、そう考えています。



