読解が苦手な子の正体は「マルチタスク」だった ―葛西の塾講師が解説

仁田楓翔

仁田楓翔

読解は「マルチタスク」である ――読解が苦手な子の正体


「うちの子、文章を読んでいるはずなのに内容が入っていないんです」

この相談は、私のもとに非常によく寄せられます。

多くの場合、
「集中力がない」
「国語が苦手」

と片づけられてしまいますが、私は少し違う見方をしています。

読解は、実はマルチタスク


一見すると、読書は「ただ読んでいるだけ」の単純な作業に見えます。

しかし脳の中では、同時に複数の処理が走っています。

文字を視覚的に認識する
語彙の意味を思い出す
文の構造(主語・述語・因果関係)を処理する
前後の内容を一時的に保持する
「この段落は何を言っているか」を要約する

これらは、脳の別々の処理領域を使います。

つまり読解とは、

シングルタスクに見えるマルチタスク

なのです。


同時処理が苦手な子ほど、読解が苦手になりやすい理由


同時処理(ワーキングメモリや処理速度)が得意な子は、これらを無意識に並列処理できます。

一方で、処理を「一つずつ」行うタイプや情報が重なるとフリーズしやすいタイプの子どもは、文字を追っているだけで脳がいっぱいになります。

結果として
読んだはずなのに内容が説明できない
選択肢を見た瞬間に混乱する
「サボっているように見える」という状態が起きます。

これは能力不足ではなく、脳の使い方の特性です。


やってはいけない対策


ここで多くの現場がやってしまうのが、
「もっと集中しなさい」
「音読を増やせば治る」
「量をこなせば慣れる」
という根性論型の指導です。

マルチタスクが苦手な子に、マルチタスク量を増やせばどうなるか。

当然、さらに混乱します。

有効な対策は「シングルタスク化」


対策は明確です。
読解をマルチタスクのままやらせないこと。
具体的には、
① 役割を分解する
今日は「意味を追うだけ」
今日は「要点を1文で言うだけ」
今日は「接続語だけに注目」
一度に全部やらせません。

② 視覚情報を減らす
問題文と設問を同時に見せない
線を引かせすぎない
視線移動そのものが負荷になる子は多いです。

③ 頭の中に置く量を減らす
要約は「3行」ではなく「1行」
答えを探す前に「何を聞かれているか」を言語化
これだけで、理解度は大きく変わります。

読解は才能ではなく、設計の問題


読解が苦手な子は
「考えられない子」でも
「怠けている子」でもありません。

同時処理を要求される設計の中で、力を発揮できていないだけです。

設計を変えれば、驚くほどスムーズに読めるようになる子は少なくありません。

「読解力を上げる」前に、脳の負担を下げる。


これが、現場で結果が出る一番の近道です。


読解が苦手な子どもたちを見ていると「努力が足りない」のではなく、「同時処理を前提とした学び方が合っていない」ケースがほとんどです。

私自身、葛西の個別指導の現場で、一度にやらせることを減らし読解を“分解して設計し直す”だけで、文章理解が大きく改善する子を数多く見てきました。

もし、国語や読解でつまずいている場合は、「量を増やす」前に「脳の負担を下げる」視点を持つことが、遠回りに見えて最短ルートになることもあります。

葛西で個別に学習の組み立てから見直したい方は、ステップアップ塾Besqのように、特性に合わせて学び方を調整できる環境を一つの選択肢として考えてみてもよいかもしれません。


葛西の塾ならステップアップ塾Besq

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仁田楓翔
専門家

仁田楓翔(塾講師)

BesQ

自己肯定感を育て、子どもが自ら学び始める仕組みをつくる教育。小さな成功体験を丁寧に積み重ねることで、「できない」から「できた」に変わる瞬間を設計し、やる気に頼らず成績と意欲を同時に伸ばします。

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