“できない”の裏側にある声を、聴ける大人でありたい― BesQ・代表仁田楓翔のコラム ―
「本を読むのを嫌がる」
「音読になると極端に遅くなる」
「漢字だけがどうしても覚えられない」
こうした相談を受けることが、年々増えています。
多くの場合、周囲は「もっと練習すれば」「慣れの問題」と考えがちです。
しかし、そこにディスレクシア(読み書きに困難さが出やすい特性)が関係していることもあります。
ディスレクシアは「能力の低さ」ではない
まず大切なことがあります。
ディスレクシアは、知的な能力や意欲の問題ではありません。
話をよく理解できる
考えを深く持っている
口頭での説明はとても上手
それでも
「文字になると急に負荷が上がる」という子どもは確かに存在します。
これは、情報の受け取り方・処理の仕方の違いによるものです。
見えにくいから、誤解されやすい
ディスレクシアの難しさは、外からは「分からない」ことにあります。
ふざけているように見える
集中していないように見える
やる気がないと思われる
しかし実際には、文字を追うだけで多くのエネルギーを使っているというケースも少なくありません。
「診断」より前にできることがある
ここで強調したいのは、すぐに診断名をつけることが目的ではないという点です。
教育の現場で本当に大切なのは、
「どこで学習が止まっているのか」を丁寧に見ることです。
理解はできているのか
読む段階で止まっているのか
書く場面で負荷が集中しているのか
これを整理するだけで、子どもの表情が変わることは珍しくありません。
やり方が合えば、学びは動き出す
読みの負荷を下げる
書く量を一時的に減らす
口頭説明や図を活用する
こうした工夫によって、「できない子」だった子が
「考えられる子」「話せる子」として力を発揮し始めます。
努力が足りなかったのではなく、努力の方向が合っていなかっただけなのです。
「読むのが苦手」
「書くのを避ける」
その奥にあるのは、怠けではなく、学び方の違いかもしれません。
子どもが自信を失う前に、一度立ち止まって、見え方を変えてみてください。
伸びる道は、必ずあります。
勉強嫌い 発達特性に寄り添う塾 ステップアップ
ステップアップ塾BesQ 代表
発達支援士/教育コンサルタント
仁田楓翔



